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レフトハンダー化で達成した3ローター搭載のビジュアル系本気仕様
サーキットアタックからドリフトまでを想定!
S30系フェアレディZのチューニングは奥が深く自由度も非常に高いが、ここまで強烈な個性を秘めた存在はそういないだろう。
なにせ、S30の象徴とも言うべきL型エンジンを捨て去り、あろうことかライバルとも言えるロータリーエンジンを、しかも3ローターターボを搭載してしまったのである。これは、正統派ZファンやL型ファンからすると相当な問題作(!?)であり、禁忌に触れる邪道チューンと認識されてしまいそうだが、チューニングの世界に壁や限界などない。
何より、圧倒的な完成度の高さを誇るこのチューンドを見たら、逆に感銘を受けるはずだ。
製作したのは、三重県に店舗を構える“コモンスナッパー”。元々カスタム系に強いショップとして知られていたが、近年は『ジャパニーズ・プロ・ツーリング』というスタイルを提唱し、旧車の異色チューニングに精力を注いでいる実力派だ。このS30Zもその流れで開発されたものだが、メイキングは超本気。
心臓部の3ローターエンジンは、前後重量配分を考えてフロントミッドに搭載。その際、排気系パーツと干渉してしまうステアリング機構は、輸出仕様のパーツを使って左ハンドル化することでクリアしている。
組み合わせるタービンはT88-33Dだ。F-CON Vプロによる綿密な制御によって最高出力は500psを発生させているが、これはエンジン本体の耐久性を考慮した数値だ。それでも3ローターターボのトルクフィールはハンパではないという。
高出力を安定発揮させるためのクーリングチューンも徹底。ワンオフのアルミラジエターとブリッツのインタークーラーをVマウント化して美しく配置している。手前に確認できるブラックのコアはオイルクーラー用だ。
ちなみに、この車両はオリジナルホイールのプロモーション用ショーカーだが、サーキットを本気で走らせる(主に派手なドリフトをしたい)ことも想定している。そのため、室内には溶接留めのロールケージが張り巡らされ、シャーシ主要部分にはスポット溶接増し補強も施されている。
さらに、サイドブレーキも競技ドリフト車の多くが採用している油圧式を投入し、確実にリヤタイヤをロックできる仕様に仕上げているのだ。
一方の足回りも文字通りのフルチューンだ。フロントサスペンションは、Y33型セドリックのストラットやハブ周りを加工流用して5穴化。ブレーキにはBCNR33のブレンボを装備する。
ホイールはオリジナルの「バラマンディ・デザイン」で、軽量・高剛性・スタイリングの要素を高い次元でバランスさせたフル鍛造3ピースの自信作。サイズはフロント17×9.0J-10、リヤ17×9.5J-30で、タイヤにはフェデラル595RSをセットしている。
その他、電動パワステ化やサイド出しのエキゾースト&ウエストゲート、エンジンルームのワイヤータックなど、自由度が高く刺激的な作り込みが細部に散りばめられている。まさに、アンリミテッドの魔改造Zだ。
PHOTO:金子信敏
●取材協力:コモンスナッパー TEL:0595-23-9771