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エキシージタイプRの誕生!?
高回転型VTECエンジンを軽量ボディに搭載
熟練のクラフトマンによるハンドメイドで生産されるロータス・エキシージは、エンジンをミッドに搭載するイギリス製ライトウエイトスポーツだ。
シリーズ2(2004年〜2011年)は、900kgという軽量なボディに信頼性が高いトヨタの1.8Lユニット(ZZT231セリカに導入されていた2ZZ-GE)を搭載することもあり、ロータス好きのみならず、国産スポーツにしか興味がなかったようなユーザー達からも注目を集めた。
兵庫県のチューニングショップ“ハーフウェイ”が、チューニングベースとしてエキシージ・シリーズ2に興味を持ったのも、車重が1トンを切り、なおかつビジュアル的に洗練されたミッドシップレイアウトのスポーツカーだったから。ところが、実際に購入してドライブしてみると6000rpmからの伸びはあるものの、低中速のトルクが絶対的に足りてない。慣れようと心掛けたものの、すぐに耐えられなくなったそうだ。
そこで、「これはもう根本的にエンジンをイジるしか手段はない」とパワーチューニングを決意。当初は、2ZZをベースにしたメニューも考えたが、マージンを削ってパワーを稼ぐよりも、パワフルなエンジンに換装した方がリスクが少ないと判断。そして、過去に幾度となくエンジンスワップに使用したDC5インテグラタイプRのK20Aエンジンを投入するという流れになった。
そう、かつては中嶋悟やアイルトン・セナがドライブしたキャメルカラーのF1マシンを連想させる、夢のロータス×ホンダのコラボレーションを実現させてしまったのだ。
K20A換装にあたっては、ミッションまで含めた重量バランスが可能な限り左右同等になるようマウント。また、エンジンの搭載位置に合わせたドライブシャフトの製作にも着手。ドライブシャフトがスイングした時の安全性を確認するため、試作&テストを繰り返し、クロモリ鋼で一体成型したものを完成させている。
エキシージにK20Aを搭載するための専用EXマニも製作。K20Aはノーマルでもトルクがあるため、高回転志向とされる4-2-1レイアウトを採用。パワー&トルクのハイバランスを狙う。実際にシャシダイではノーマルの排気システムよりも約20psアップを記録。VTECの切り替わりポイント付近で発生するラグもなく、フラットに吹け上がるようになったという。
エンジンマネージメントはDC5純正ECUで行い、ユニットはリヤのトランクスペースに設置する。一方、イモビライザーや純正メーターを制御するため、エキシージ純正ECUもエンジンルーム内に残す。また、K20Aは吸気温度の変化に敏感なエンジンだが、純正の吸気経路を活用してフレッシュエアを導入し、吸気温度の安定を図っている。
クラッチ、ミッション、デフと、駆動系も全てエンジンと一緒にDC5のものを流用。シフトノブがタイプR用になっているのは、チューナー・林さんの遊び心だ。
このチューンドに試乗した井入宏之選手は「足、タイヤ、ブレーキなどは全くのノーマルだったけど、エンジンスワップ車にありがちな違和感がない。“ノーマルです”って言われても納得してしまうくらい完成度が高い。VTECエンジンを手に入れたことでパワー感は十分すぎるレベルやから、後はステージに合わせて足などのセットアップを進めるだけやな」と評価。
エキシージ・シリーズ2は、2006年にスーパーチャージャーを組んだ220ps仕様のハイパフォーマンスモデル“エキシージS”を市場に投入している。しかし、ハーフウェイが製作したK20A搭載エキシージは実測250psを超えており、戦闘力はSを遥かに凌ぐ。このチューンドの存在感は、大げさではなく“エキシージタイプR”と言っても決して過言ではないだろう。
●取材協力:ハーフウェイ 兵庫県神戸市西区見津が4-9-6 TEL:078-998-2223記事が選択されていません
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