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ノーマル排気量の4A-GEベースで500馬力に到達!
ゼロヨン日本新記録を達成したカローラワゴン
それまでの4A-GEエンジン搭載車のゼロヨン日本記録である10秒498を見事に打ち破り、新レコード10秒286(2014年時)を樹立したカローラワゴン(AE91G)の登場だ。
マシンメイクは4A-GEベースで400m走り切ることに特化したもの。しかも、フレーム製作からチューニングのほぼ全てをオーナー自らの手で行っているというのだから驚きだ。
その手塩にかけた心臓部は、縦置き&フロントミッドマウントとされた1.6Lの強化スペック。腰下はカールシュミットの鍛造ピストンとJUNのI断面コンロッドを組み込み、ヘッドも自作のポート加工を軸に徹底チューンを敢行。そこに、トラストのT88-33Dタービンを組み合わせて500psを発揮させている。
ちなみに、排気量ノーマルはオーナーの拘りなのだが、1.6LでT88クラスのタービンを回し切るのは容易ではない。そのため、エキゾーストハウジングを小径化したり、オクタン価が高くパワーを引き出しやすいアルコール燃料を使用するなどの工夫を行なっている。最大ブースト圧は2.0キロ、エンジンマネージメントはモーテックが担う。
なお、アルコール燃料は吸気温度・燃焼温度ともに低いため、インタークーラーは不要とのこと。
シャシー関連の作り込みも凄まじく、フルパイプフレームをイチから製作し、それに伴いダッシュボードやフロア周りも全て自作で再構築。もはやプロ顔負けのドラッグスペシャルに仕上がっているのだ。
ミッションはレンコの5スピード。3500psを叩き付けても耐えられるように設計された超ハイパワーマシン向けのオーバースペックアイテムだが、オーナーは強い拘りでこのパーツを使い続けている。
サスペンションシステムもワンオフメイド。フロントサスはFC3S純正ベースの大加工品(3km/mm)で、リヤにはコニのWRアジャスト(1.8kg/mm)をインストールする。
タイヤはフロントがグッドイヤー(F23×5.0-15)で、リヤはミッキートンプソンETストリート(R30×13.5-15)をセット。ホイールは定番のウエルド(F5.5J R13.0J)だ。
記録達成後の走行でエンジンブロー(コンロッド折れ)してしまったためタイムの更新は出来なかったが、コンディション次第では9秒台突入も夢ではないスーパードラッガー。今後のさらなる進撃に期待したい。(OPTION誌2014年8月号より抜粋)