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想定外のボディワークで実現したJZX100チェイサークーペスタイル
Bピラーを後方に移設してフロントドアを延長!
このJZX100チェイサーを見ていると「なんでトヨタはツアラー系のクーペモデルを作らなかったんだろう…」とさえ思ってしまう。方向性はBMWのM3。違和感よりも感動が勝る、奇跡の想定外チューンドだ。
この車両を製作したのは、静岡県の鈑金屋さん。「BMWやメルセデスのクーペボディみたいに、ツアラーVを2ドア化したら絶対にカッコ良いはず!」と強い信念の元に製作を開始したとか。注目すべき点は、ボディサイズやホイールベースは寸分も変えることなく2ドア化を果たしているところだ。
そのカラクリを明かすと、フロントドアパネルを鉄板加工で約27cm延長し、Bピラーをごっそり後方に移設。そしてリヤのドアパネルは余分な部分をカットしてスムージング加工を実施。つまりはフロントドアパネルをストレッチ化しているわけだ。なお、サイドウインドウ類は暫定のアクリル仕様となる。
製作時に最も苦労したのはピラーの位置決めだったそう。というのも、ドアパネルをそのまま延長&ピラー移設するだけではトータルフォルムに違和感が出てしまうからだ。そこで、フロントドアパネルのアーチをフェンダーに合わせて湾曲状にしたり、ピラーの傾斜角を変更するなど試行錯誤を繰り返しながら、理想的なクーペスタイルを構築したそうだ。
単なるショーカーで終わらないのが、このチューンドの凄いところ。激しいドリフト走行にも耐えられるよう、Bピラーはガッチリと再溶接した上でドア開口部のスポット点数も大幅に増やすことで、剛強ボディを作り上げているのだ。ちなみにウェザーストリップやモール類は2台分用意し、繋ぎ合わせて延長している。
室内の作り込みも抜かりなし。ドア内張りは延長部分を発泡ウレタンで成形し、その上からFRPを貼り込んで柔軟性のあるゴム系の塗料を吹き付けている。純正風の仕上がりが見事だ。
ボディサイズやホイールベースは全く変更していないので、広々とした後部座席はそのまま使えるのも大きなポイント。リヤの内装は後端をカットして辻褄を合わせている。
エアロパーツはT&Eのヴェルテックス。フロント20mm、リヤ30mmワイド化されたフェンダーにツライチで収まるホイールはNENERDiの20インチだ。
ここまで手の込んだメイキングを施していながら、トータルフォルムは非常にスマート。ドリフト走行会では気づかれないことも多いそうだが、「パッと見は普通っぽいけどクルマ好きには理解してもらえる仕様を狙ってますから」とのこと。周囲の反応はオーナーの狙い通りというわけだ。超絶魔改造ツアラーV、アッパレすぎる!(OPTION2誌より抜粋)