「お前に代わる存在などいないんだ!」2.0L・FRターボ最後の砦『S15シルビア』を再評価

未だFRターボモデルの王道として君臨

フルレストアボディは未だ現役のスタビリティ!

厳しい排ガス規制を乗り越え、パワー競争が激化した1980年代はソアラ/セリカXX、セリカ/コロナ/カリーナ、スカイライン、シルビア、ブルーバード、ランサー、スタリオン…と、1.8~2.0LクラスのFRターボが続々と登場した。その中で格好のチューニングベースとして人気を集め、2000年代まで生き延びたのはシルビアだけだった。

その歴史は古く、初代の登場は1965年。2ドアスペシャリティクーペとして世に放たれ、代を重ねてもそのコンセプトを受け継いできた。

そんなシルビアが“デートカー”と呼ばれ、若者のクルマという地位を確立したのは1988年にこと。日本の好景気を背景に登場したS13型だ。その後、全幅拡大で3ナンバーとなったS14(1993年)、再び5ナンバーへと戻されたS15(1999年)へと続いた。S13後期型以降のトップグレードは一貫してSR20DET型エンジンを搭載。しかも、FRでMTが用意され、ブーストアップから手軽にチューニングを始められる。つまり、多くのクルマ好きに刺さる要素が全て備わっていたのだ。

HKSの2.2Lキットで排気量を拡大したSR20DETは、264度カムや強化バルブスプリング、1.2mm厚メタルヘッドガスケット、インタークーラー、オイルクーラー、740ccインジェクターなどもHKS製を使用。タービンもGTⅢ-RSがセットされ、LINK ECUでのフルコン制御により、最大ブースト圧1.3キロ時に440psを発揮する。

取材車両は、名門“ペントルーフ”が1年を費やして仕上げたワンオーナーの個体だ。フルストリップ状態からレストアが行なわれ、降ろされたエンジンはブーストアップ仕様からMAX440psの2.2L仕様へと大幅なバージョンアップも果たすことになった。

「ボディ、シャシー、エンジン、駆動系、足回り、ブレーキ…。レストア作業も含めて全てをやり直したので確かに時間は掛かりましたけど、ここまでパリッと仕上がったイチゴーは、やっぱカッコ良いですよね」と“ペントルーフ”の北林代表。

ミッションはニスモ強化6速クロス。ノーマルに対して1~2速のギヤ比を3速に近付け、6速はローギヤード化される。クラッチは扱いやすさと許容伝達トルクの向上を両立したニスモカッパーミックスシングル。ミッションケースとフロントパイプの間にはウエストゲートパイプも確認できる。

落ち着いた砲弾テールが特徴的なエキゾーストマフラーは、フジツボのRM-01A。メインパイプ径76.3φ、テールエンド径99φとなる。また、フロントパイプもフジツボ製、キャタライザーはHKS製を装着。デフは定番のニスモGT LSDプロ(2WAY)だ。

ボーダーのキットを使い、Z34ニスモキャリパーと355mmの2ピーススリットローターで強化されたフロントブレーキ。リヤもプロジェクトμのキットでローター大径化(258→305mm)が図られる。パッドは前後ともエンドレスMX72だ。

また、車高調はペントルーフオリジナル。フロントテンションロッドやリヤアッパーアームなどはクスコ製、前後ロワアームにはニスモ製を奢る。

ワークスベルのラフィックスIIで脱着式とされたステアリングホイールはナルディクラシック340φ。シフトノブはニスモ製に交換され、Aピラーにはデフィブースト計が装着される。

T&Eヴェルテックスエッジフルエアロが組まれた外装。ホイールは18インチのアドバンレーシングGTビヨンド(F9.5J+12 R9.5J+5)で、255/35サイズのアドバンネオバAD09を履く。

気が付けば、最終型でもすでに20年以上が経過しているという現実。トラブルなく快適に乗ろうと思ったら、各部のチェックや修理など、オーナーにはそれなりの心構えが必要だ。そういった不安要素を排除したペントルーフのS15は、同じシルビア乗りにとって手本になる1台だと思う。

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PHOTO:近藤浩之
●取材協力:ペントルーフ 東京都大田区大森東2-28-2 TEL:03-5493-0840

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【関連リンク】
ペントルーフ
http://www.pentroof.co.jp

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