目次
費用対効果を考えた財布に優しい仕様
生まれ持った軽快感を伸ばす最適解のアプローチ!
8年という長いモデルライフを誇ったGC8の後継モデルとして、2000年10月に登場したGDB。トレッド拡大を目的に全幅が1740mmまで拡げられ、3ナンバーボディを纏うことになった。GRB/GVBでボディが大きく重くなったこともあり、軽快なハンドリングを求める層から未だに高い支持を受けるGDB。今回紹介するのは、そんな稀代のスポーツマシンがベースだ。
ブーストアップ仕様からのステップアップとしてt-getでチューニングされたこのマシン。エンジン本体はノーマルのまま、タービンをHKSのGTIII-RSに交換し、最大ブースト圧1.4キロ時に400psを発揮。これでブーストアップ仕様に対して、パワーは50psほど上乗せされることになった。
インタークーラーは、純正トップマウント方式からトラストの前置きへと変更。ラジエターもトラストのアルミ製、オイルクーラーはHKS製を追加して冷却性能の向上を図る。また、パワー&トルクアップに合わせてクラッチもHKS製LAシングルに変更。軽量フライホイールによるレスポンスアップも実現している。
排気系はHKSメタルキャタライザーに加え、タービン交換と同時にスーパーターボマフラーをインストールした。
スペックはポン付けタービン仕様だが、注目は大容量インジェクター&燃料ポンプで構成されるHKSフューエルアップグレードキットの導入で、燃料系の見直しを図っている点だ。
GDB用にラインナップされるHKSフューエルアップグレードキットは、ボッシュ製650ccインジェクターと260L/h燃料ポンプがセットになったもの。インジェクターは従来の2ジェットタイプからコニカルスプレー(1スプレー)タイプに変更され、霧化性能の向上や無効噴射時間の短縮などを実現したものが採用される。
「性能的にはかなり良いインジェクタ―だと思います。4本の噴射量が揃っていて霧化特性に優れるので、燃料を絞り込まなければならないアイドリング領域のセッティングが出しやすく、安定したアイドリングを可能にします。また、燃費の改善にも貢献してくれますよね」と、t-get代表の境さんは言う。
エンジン制御は燃調と点火時期をHKS F-CON iSが、AVCS(連続可変バルタイ)をPWRカムコンEXがそれぞれ担当。いずれもブーストアップ時代から使っているパーツだ。フルコンが幅を利かせる現在、サブコン+バルタイコントローラーは一世代前の制御方式のように思えるかもしれない。
しかし、重要なのはパーツそのものではなく、どこまでセッティングを煮詰められるかということ。もちろん、そこがチューナーの腕の見せ所であり、一方で既存のパーツを使えばチューニング費用を抑えられるという大きなメリットもある。このGDBは毎日通勤にも使われているだけに、日常域での扱いやすさはノーマル同等を維持するのが大前提だった。
「純正タービンもGTIII-RSも、ブースト圧の立ち上がりはほとんど変わらないので、まず低中速トルクが犠牲になることはありません。それでいて高回転域はブースト圧がタレず、トルクが持続してくれるGTIII-RSの方が圧倒的に有利。しかも、高性能インジェクターのおかげで、ドライバビリティは全回転域で良くなってます。この仕様でのデメリットは一切ないと思いますよ」と境代表。
車高調はハイグリップタイヤでのスポーツ走行向けにセットアップされたHKSハイパーマックスMAX IV SPを装着。スプリングレートは標準のフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmとなる。ブレーキはパッドをプロジェクトμHC M1に交換。「ダストの発生が少なく、街乗りメインでたまにサーキットを走る人には打ってつけだと思います」とはオーナー。
また、内外装にはオーナーの拘りが満載。いわく、「サーキット走行を見据え、10.5Jのホイールをぜひ履きたい。でも、見た目が派手になるのは嫌だったのでテックスモディファイのワイドフェンダーを選びました。テールランプユニットは、このボディ色(プレミアムシルバー)にはこっちの方が似合うと思い、F型純正に交換。内装にはカーボンパネルを多用してます」とのこと。
コストパフォーマンスも考えたチューニングメニューと、オーナーの趣味が色濃く反映された個性的なルックス。このGDBは、令和スペックとして非常に高い完成度を誇るのだ。
●取材協力:ティーゲット 埼玉県行田市藤原町2丁目6-9 TEL:048-554-1345
【取材協力】
ティーゲット
http://www.t-get.com/