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2.4L化とGCGタービンのタッグで超トルクフルな480馬力を実現
驚異の102mmストローク仕様!
ビッグタービン化やカム交換などでパワーを追求していけば、その代償として多少なりとも快適性や耐久性が削られることになる。今回の主役であるランエボIXは、そんなパワーチューニングの常識に真っ向から挑んだ作品だ。
キーファクターとなる心臓部は、名門“アンリミテッドワークス”が創出した4G63改2.4L仕様だ。これは、サーキット走行を好むオーナーからの「日常の足として気軽に使えることを前提に、他人と全く違うハイチューン仕様にしたい」というオーダーに対する回答でもある。
まず注目すべきは、アメリカのBC(ブライアンクロワー)製キットによる2.4L化。102mmというロングストローク設定と、MIVEC(可変バルタイ)の相乗効果で、分厚い低速トルクを生み出している。加えて、270度のハイカムを組み合わせることで、高回転域のパンチ力もしっかりと確保。レブリミットはストローク量の関係から7500rpmに設定されている。
組み合わせるタービンは、世界的に評価の高いGCGのGTX3071R。ボールベアリング式&削り出しブレード採用のハイレスポンスモデルでありながら、純正EXマニ/アウトレットに対応するためコストパフォーマンスにも優れている。
サージタンクやスロットルはノーマルのままとして、コストパフォーマンスも追求。500psのパワーに合わせて、燃料系はサードの800ccインジェクターと275L/hポンプで容量アップを図っている。
冷却系は、オリジナルのオイルクーラーとタバタの大容量ラジエターを組み込んで、サーキットの連続周回に対応できるクーリングパートを構築。さらに、エアクリはヒートエアを吸い込まないようアルミボックスで囲う。予算の都合もありインタークーラーは純正のままだが、ノーマルでも600ps近くまで対応できるので問題なしだ。
エキゾースト環境は、オリジナルの75φフロントパイプと90φチタンマフラーで2.4L仕様に適したスペックを与えた。「4G63チューンのポイントは排気系です」とは佐藤代表。
そして「日常の足としての気軽さ」を実現する決め手となっているのが、ハルテック製のフルコン。ハイチューンにも対応するDジェトロ制御方式だが、4G63専用のプラグインタイプなので、純正の各種センサーを生かしてエアコン作動時のアイドルアップなども完璧に順応。さらに、純正相当のフェイルセーフ機能も備えるため、トラブルのリスクも低く抑えながらフルチューンの醍醐味を味わえるのも大きな魅力なのだ。
最高出力は、最大ブースト圧1.5キロ時に約480psを発揮。トルクは60kgmだ。排気量アップの効果と相まって、ターボラグを感じさせない鋭い立ち上がりを見せる。
エクステリアは、バリス製ボディキットやボルテックス製GTウイング等の高機能エアロパーツで武装。年式に比べて外装のコンディションが良いのだが、新車から大切に乗り続けていると聞いて納得。
足回りは、アンリミテッドワークス仕様のオーリンズDFV車高調を軸にセットアップ。富士スピードウェイや筑波サーキットを想定して減衰力、スプリングレートとも通常よりもハードな設定(F14kg/mm R12kg/mm)だが、高い路面追従性によりストリートでの乗り心地も十分だ。
ホイールはSSRのタイプF(9.5J×18)で、タイヤにはディレッツァZ1スタースペック(265/35-18)を履く。ブレーキはパッド交換に留めている。デフはフロントのみクスコの機械式LSD(1WAY)を投入。
インテリアは、ダッシュボード上にトラストの追加メーターを3連で装備するなどストリート然とした仕上がりだ。シートはレカロRS-G、ステアリングはMOMOのドリフティング。エアコン、オーディオ装備で軽量化は一切行なっていない。ミッションはRS用のハイクロスに変更済みだ。
「特に違いを感じるのが、4速や5速での加速ですね。以前のカム交換+ブーストアップではパワーが付いてこないと感じることもありましたが、この仕様ではアクセルを踏み続けるのが恐いくらい加速が途切れません。アクセルを踏まなければ普通のエボですよ(笑)」と、2.4L仕様の感想を語るオーナー。見事にオーナーの理想とするスペックに仕上がったというわけだ。
●取材協力:アンリミテッドワークス 神奈川県横浜市瀬谷区北町44-8 TEL:045-719-2116
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