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路面を力強く蹴り上げるマッスルボディ
オーナーの要望を叶えた快適650馬力仕様!
90年代を代表するFRスポーツであり、パワーとトルクを兼ね備えた3.0Lツインターボの2JZ-GTがチューニングシーンを盛り上げたJZA80。
パワーチューンによって重量級ボディを痛快に加速させていくポテンシャルの高さはもちろんだが、グラマラスなラインで描かれたマッスルボディ、ドライバーファーストでメーター類がレイアウトされて戦闘機のコクピットを彷彿させるインテリアなど、走りだけでなく魅せ場も数多く詰め込まれた1台と言えるだろう。
さて、そんな逸材はハリウッド映画『ワイルドスピード』で活躍したこともあって、30年あまりが経過した今も人気が衰えない名車となっている。ただし、高騰している中古車相場に対して、走りのポテンシャルは経年劣化の影響で低下する一方だ。
そんな状況も踏まえて、今回紹介する名門“フェニックスパワー“のJZA80は、コンディション良好な中古車をベースにレストア&チューニングが行なわれた。
「若い頃に乗っていたJZA80をもう一度楽しみたい…とのことで、オーナーからレストア&チューニングを相談されました。当時は、チューニング費用の関係でライトチューンだったこともあって大幅なポテンシャルアップを希望されていたのですけど、完成後は通勤やツーリングで楽しみたいとのことでしたからオーバーホールついでの3.1L仕様を提案。ピックアップの良さと頼もしく盛り上がっていくパワー&トルクが楽しめる650ps仕様に仕上げています」とは、オーナーの理想をヒアリングしてトータルパッケージングに優れた1台に導いた京都店の仲辻メカ。
エンジン本体はHKSの87φピストンと東名パワードのH断面コンロッドを組み込んだ3.1L仕様で、制御はF-CON Vプロで行なう。
チューンドらしいパワー&トルクの盛り上がりが楽しめて使い勝手も崩さない2JZに仕上げるべく、タービンにはT78-29Dをマッチング。コンプレッサーハウジングはマットブラックで仕上げたヘッドカバーに合わせてブラックにペイントしている。
最新設計で仕上げられた海外製のサージタンクを使い、100φスロットルを投入。霧化効率に優れるR35GT-R用900ccインジェクターを使用するなど、チューニングメニューも細かく最新仕様を投入する。
3.4ℓ化してビッグシングルを回すという選択肢もあったが、通勤やツーリングで楽しめるように3.1L×T78-29Dでセットアップ。ブースト圧は1.3キロと低めに仕上げているが、風量があるため中高回転から痛快な頼もしさを味わえる。
車両購入時に装着されていたRSEのチタンマフラーをオーナーが気に入っていたため、650psなら80φでも問題ないと継続投入。ストリートチューンドとして、タービンキットのフロントパイプにはスポーツキャタライザーをワンオフ製作している。
いくらポテンシャルを引き上げても、それを支える足回りが備わらなければチューンドスープラの醍醐味は味わえない。そこで、オリジナルセッティングを施したアラゴスタ・タイプS車高調と、イケヤフォーミュラの調整式ピロアームでフットワークを引き締めた。
透け感のあるゴールドをセレクトしたBBS・RI-D(F9.0J+42 R10.5J+15)は、ボディとのボリュームバランスを整えるために19インチ化。35扁平で引き上げたタイヤ外径や380mmローターのブレーキシステムと相まって、逞しい足元が楽しめる。タイヤはアドバンネオバAD09(F255/35 R285/35)だ。
JZA80らしいスパルタンなコクピットデザインを、カーボンパーツで際立たせたインテリア。ロールケージはリヤシートが残せる6点式をチョイスし、4名乗車可能なストリート仕様へ仕上げている。
ガナドールのエアロミラーなど当時感へ拘りつつも、19インチ化など今時のテクニックも駆使してアレンジされたJZA80。パフォーマンス、スタイリングともに当時を凌ぐ完成度で仕上げられたチューンドは、後世へとスープラの魅力を伝承していく存在となるに違いない。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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