目次
懐かしのNARロードスターを現代風にアレンジ!
新型用パーツを駆使したレストモッド仕上げ
1989年にデビューしたNA型ロードスター。手頃感のあるライトウェイトオープンスポーツは瞬く間に世界中のクルマ好きを魅了し、希有なるヒットモデルとなった。
しかし、時の流れとは残酷なものだ。NA型は今やネオヒストリックカーの領域に足を踏み入れており、人馬一体の走りを取り戻すためには大手術が必要な個体も決して珍しくはない。
神奈川県のロードスター専門店“ジョイファスト”でも、近頃ではブッシュの打ち替えや幌の張り替え、タイミングベルトやウォーターポンプの交換などのリフレッシュ依頼が増えているそうで、代表の伊左治さんは「愛車のコンディションを見直したいと考えるオーナーが増えているんでしょうね。エンジンオーバーホールやボディレストアなどの大作業も急増しています」と話す。
ここで紹介するNA6CEは、そんな伊左治代表の愛機。知る人ぞ知るNARニッケイの元デモカーがベースなのだが、入手可能な純正部品は可能な限り新品に交換。フロア周りは錆を除去した上でチッピング塗装を施すなどし、ユーザーの見本となるように徹底リフレッシュを敢行しているのだ。
美しさばかりに目がいってしまうが、注目すべきは新型用パーツを積極的に活用したレストモッド仕上げということだ。ミッションは強度面に優れ、シフトの入りが良いNCEC用5速に載せ換えている。
NA型ロードスターらしい軽快な走りを取り戻すべく、足回りにもメスが入る。劣化が進むブッシュ類は、比較的負担が少ないアッパー側にゴムブッシュを、アライメント調整に関わるロア側をピロボールを…と、適材適所で使い分ける「ハーフ&ハーフスペシャル」を採用。そこにオリジナル仕様の2WAY車高調を投入することで、爽快なハンドリングとしなやかな乗り心地を両立した。
ホイールはRSワタナベの14インチで、タイヤにはアドバンタイプDを組み合わせる。タイヤサイズは前後とも185/60514だ。
エンジンはあえて当時仕様のままだ。B6ベースに、スーパーテック鍛造ピストンを組み込むことで排気量を1680ccに拡大。ヘッドはポート研摩を行った上で、IN/EXともに256度ハイカムをインストール。樹脂タンクやホース類も新品に交換され、ヘッドカバーはバレル研磨にて磨き上げた。今後はLINK G4Xフルコンにて制御を行う予定だという。
エキゾーストには排気効率を高めるべくマキシムワークスのエキマニを採用。クラック予防の補強も施される。マフラーはステージ2寸管プラスをチョイス。ジェントルなサウンドを奏でる。
インテリアも美しいコンディションを保つ。エアコンはコンプレッサーやエバポレーター、配管類など全てNB用を移設してR134aへとアップデート。これは工賃込み27〜28万円のメニューだ。
シートはM2 1028にも採用されたエスケレート・タイプ2。ロゴ入りのジョイファストオリジナルスペックだ。ロールバーは当時モノのレーシングビート製を装着する。
保安基準適合のシートベルト(3万5000円/片側・税抜き)も用意。カラーが充実しているので内装コーディネイトが楽しめる。
リヤスクリーンや幌にダメージが生じているNA型オーナーにお勧めなのがNB用幌への交換。ガラスタイプとなっているためメンテナンスも容易。質感も高いのでリフレッシュ効果も大きい。予算は工賃込みで40万円〜とのこと。
「約30年も経過しているので電装系トラブルは多いですよね。エアフロは昔ながらのフラップ式ですし、純正ECUも供給が止っているのでフルコン制御にすることにしました。LINKを入れてDジェトロ化すればトラブルのリスクも減らせるし、レスポンス向上にも繋がりますよ」と伊左治さん。
ツボを押さえた作り込みとなるジョイファストのデモカー。NA型ロードスターと長く付き合いたいと思っているユーザーにとって、参考になる部分も多いのではなかろうか。
●取材協力:ジョイファスト 神奈川県横浜市都筑区勝田町1376 TEL:045-949-6693