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心臓部はサイド拡大+TO4Zタービンで500馬力!
目指したのは究極的なオールラウンダー
広島県出身で、幼少期に東洋工業の社会科見学で見たロータリーエンジンに衝撃を受けたというオーナー。まさしくそれが彼にとっての“モーターライフの原風景”であり、免許を取って最初に迎えた愛車がFC3Sだったいう話も納得だ。
その後、シーマやカマロを乗り継いではみたものの、やはりロータリー独特の加速フィールが忘れられず、購入に踏み切ったのが現在の相棒だ。
心臓部はサイドポート拡大+TO4Zタービンのコンビネーションで500ps/52kgmという高出力を発揮させているが、このFD3Sは決して競技専用ではない。「サーキットも走れるストリートスペック」をコンセプトに、名門“パンスピード”がその技術力を注入したハイスペック仕様なのである。
パンスピードがこのマシンで拘ったことは、ロータリーチューンドにとって最も大きな問題となる熱害への対処。軸となる冷却システムにはラジエターとインタークーラーをV字に配置するVマウントシステムだが、このFD3Sのものは一般的なVマウントと比べると、インタークーラーがほぼ平行にレイアウトされている。
「このレイアウトだとインタークーラーコアを厚くできるので、より高い冷却効果が期待できるんです。その上で、エンジン内に入る全ての空気がフロントバンパーからボンネットダクトに抜けるように導風板を作ってやれば、夏場でも水温を86度から93度くらいでキープ可能です」と、パンスピード佐藤氏は話す。
そして、パンスピードが長年の経験から導き出したサイドポート拡大加工も、扱いやすさを実現するための大きなポイント。ノーマルと変わらない耐久性を持たせたまま、確実なパワーアップを果たしているのだ。
足回りは、ザックスベースのパンスピード車高調(F18kg/mm R20kg/mm)でセットアップ。アーム類はトーコン以外ノーマルだが、全ブッシュを強化品に打ち替えてリフレッシュ済みだ。
ホイールはSSRのプロフェッサーSP1(FR11J×18)で、タイヤにはアドバンA050(FR295/30-18)を組み合わせる。
室内は、スパルコの350mmステアリングとブリッドのストラディアIIでドラポジを最適化。追加メーターはブリッツ製(水温、油温、油圧、燃圧、ブースト)で統一している。
「これだけ安心してサーキットをガンガン走れるFD3Sは少ないのではないでしょうか。クルマの仕上がりにはとても満足しています」とはオーナー。
ちなみに、オーナーは普段乗り用にATのFD3Sも所有している。それも「このマシンに少しでも長く乗るための手段」だと言う。そこまでしてこのFD3Sを大切にする姿からも、その完成度の高さが窺い知れるだろう。
●取材協力:パンスピード 埼玉県蓮田市関山2-7-8 TEL:048-764-2040
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