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ロータリーの概念を崩す燃費も達成した450馬力のハイスペック
ハーフアクセル時のセッティングに拘る
『走る、曲がる、止まる』という、クルマとしての基本性能をノーマルよりレベルアップさせるのは当たり前。その先のチューニングとして、ロータリーエンジンの概念を覆す低燃費性能を兼ね備えた仕様を追求したのが、名門“Rマジック”のFD3Sだ。
「アクセル全開時のセッティングは、どこのECUもキッチリ煮つめてあると思うんです。ただ、ストリートで重要なのはハーフアクセル時。この部分をどのように仕上げるかで、450psを超えるチューンドロータリーでも、高速巡航でリッター10キロオーバーの好燃費をマークできるエンジンになるんですよ」というのは、Rマジック大原代表。
具体的にはECUセッティングの際に、アクセル全開時のセッティングを行った後、シャシーダイナモの負荷設定を細かく変化させて、アクセル補正のデータを詰めていくとのこと。この作業や加速補正のプログラムを攻めていけば、サーキットを速く走れるパワーと低燃費を両立したロータリーエンジンに仕上がるわけだ。
また、ECUセッティングに加え、エンジン本体にも一手間かけているところもポイント。ローターのランドをわずかに削ってフリクションを低減したり、オリジナルの3ピースのアペックスシールを使用してハイパワーに対応する耐久性を確保。省燃費、ハイパワー&ハイレスポンス化、高耐久性を兼ね備えた基礎となるエンジンが出来ているからこそ、ハーフアクセル時のセッティングも生きてくるのである。
組み合わせるタービンは、オーナーの意向も選択もありRX6のTCW77を使用。最高出力は450ps、パワーバンドは3500~7500回転とかなり広い。
FD3Sでサーキット走行をするならば、コレクタータンクの装着は必須。理由は燃料計の半分くらいから燃料の片寄りが起こりやすくなり、コーナーリングでエンジンが息つくような症状になってしまうからだ。
サスペンションはアペックスN1ダンパーをベースに、オリジナル減衰力へと仕様変更。ピストンスピードが遅い領域でもしっかり減衰力を出し、ピストンスピードが速い領域では減衰力が必要以上に高くならないようにセッティングされている。スプリングはスウィフト(FR18kg/mm)だ。
6型以前のFD3Sは、リヤブレーキの効きが甘く、フルブレーキング時にフロントがロックしやすい。この問題を解消するため、ノーマルキャリパーをオフセットさせ、ローター径を大きくして前後ブレーキバランスを適正化している。
トーコントロールリンクとラテラルロッドの両側ピロボール化はFD3Sでスポーツ走行をする際の必須メニュー。限界付近でのピーキーな動きを取り去り、限界まで攻めやすくしている。
ストリート仕様のため、エアコンやオーディオも健在。追加メーターはアペックス製(ブースト/水温/油温/油圧)で統一している。
エクステリアはRマジックのオリジナルワイドボディキットでフル武装。高速コーナーでの車速を稼ぐために、カナードやGTウイングも装着される。
オールマイティなチューニングカーに求められる“トータルバランス”を、極めて高い次元で実現しているFD3Sだ。
●取材協力:Rマジック:神奈川県相模原市中央区田名3530-1 TEL:042-764-7077
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