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オーナーの夢を名門“ハマーデザイン”が具現化
リヤバンパーは一生外せない仕様!?
ロー&ワイドは、今も昔もカスタムシーンで一大勢力を誇るムーブメントだ。とくにワイドボディキットは多くのパーツが乱立し、その微妙なフォルムの違いまでも話題に登るほど。もちろん選択するのは多種多様なブランドからであっても、既製品を取り付けるだけではあくまでも誰かのイメージの範疇から抜け出せない。唯一無二のボディを目指すならば、“脱既製品”は最善策なのだ。
そんなセオリーを見事に証明するのが、“TERU”さんのZ33。強烈なワイドフォルムはロケットバニーのエアロボディキットをベースにしているものの、製品部分は天面の一部を使用するのみ。その他全てをフルスクラッチすることで滑らか過ぎる曲線美を描いているのだ。
「ワイドボディ化を相談した時は、単純にロケットバニーをそのままポン付けする予定だったんですよ。でも、話しているうちにスムージングした方が良いってことになって。それなら既存のバンパーやフェンダーに合わせて造形してもらおうってことになったんです」。
すでに装着済みだったアミューズのスーパーレジェーラやニスモリヤバンパーを軸に、フェンダーデザインを再構築。ボディワークを担当するのは、カスタムペイント界の超大御所“ハマーデザイン”。ペイントはもちろんシームレスな曲線を描くボディは、まさに神業とも言える仕上がりだ。
ちなみに、フロントフェンダーはスーパーレジェーラのデザインを活かしつつ、さらにワイド化を敢行。同時にダクト形状に合わせてアーチ下部を延長するなど、大規模なモディファイが行われている。
また、スタリングの美しさを重視するあまり、脱着を行わない前提でフェンダーからニスモリヤバンパーを一体化。とくにZ33はローダウン時にリヤバンパー取り付け位置が干渉する問題もあったため、その対策としても効果的だった。
リヤフェンダーもほぼフルスクラッチ状態。天面部分こそロケットバニーながら、裾野部分などはボディに合わせて完全なワンオフ。このフェンダーに合わせるホイールは、「Zならレイズ」のイメージでボルクレーシングTE37Vをフロント10.5J、リヤ11Jでセット。
究極的な着地フォルムを実現するために入れられたのは、スキッパーのハイドロ。リヤウインドウからアキュームレーターがチラリと見えるレイアウトは、ショーアップのアクセントとしても考えられている。
シートはエディルブのリクライニングを2脚投入。インテリアは目立つカスタムが行われていないが、シックなボディカラーと合わせるならシンプルな仕上げでも十分とも言える。
トドメのペイントは、ボディラインを際立たせるべく、AMGのセレナイトグレーでフィニッシュ。当初は元色のキャンディレッドで塗り直しを予定していたものの、ルーフを除くほぼ全てに手が加えられたためカラーチェンジに踏み切ったそう。重厚なメタル感と艶消しの質感がボディラインを際立たせてくれる。
TERUさんの当初の思惑から大きく上方修正されたZ33は、まさにオーナーをも魅了するグラマラスボディの淑女に変身を遂げたのである。
OWNER:テル TERU
TEXT:渡辺大輔 Daisuke WATANABE/PHOTO:土屋勇人 Hayato TSUCHIYA