「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意

旧車のネガな要素を極限まで排除!

L型フルチューンの楽しさを残したモダンな調律術

フロント周りのパーツを交換した“仕様”でなく本物のフェアレディ240ZGと言えば、今や中古車市場価格が1000万円は下らない超プレミアモデル。ゆえに、ボルト1本までオリジナルであることがさらに価値を高める…というのが、旧車の世界における圧倒的多数な意見に違いない。

そんなオリジナル至上主義とは対極のポジションにあるのが、ここで紹介するフェアレディ240ZG。マシンメイクは、エンジンスワップやワンオフの作り物を得意とする“ダディーモーターワークス”が手掛けた。

今時のパーツを積極的に取り入れているだけあって、細部に至るまで見どころが満載。中でも注目したいのはエンジンとミッションだ。

まず、エンジンは亀有オリジナルパーツを使った定番とも言えるL28改3.0Lフルチューン仕様。燃料系は、それまでのソレックス50φキャブに代えてイギリス・ジェンビー製スポーツインジェクションを導入し、旧車ならではの雰囲気や見た目を損なうことなく電子制御化が図られる。

点火系も同様で、RB用クランク角センサーとイグニッションコイルを流用。それらの制御はLINKストームが担当する。また、エキマニは大阪の老舗ショップ、レーシングサービスファクター製を装着。これはオーナーの強い拘りでチョイスされたものだ。

見た目はウェーバーDCOEキャプそっくりなスポーツインジェクションは、ツインスロットルボディを3連装。バラフライバルブ径は40/45/48φと3種類が揃うが、この240ZGでは最大の48φをチョイスする。

Lメカフルチューン仕様に組み合わされるミッションはZN6型86純正6速MT。それを選択することになった理由をダディーモーターワークス代表の尾頭さんに尋ねてみた。

「まずL型のNAチューンに対してであれば、許容トルクなどのキャパシティが十分なこと。それと中古品が数多く流通していて10万円以下で買えるのも魅力ですね。これまでL型にはRB20用5速MT(FS5W71C)を使っていたんですけど、中古価格が15万円以上に高騰して、新品パーツの供給状況も怪しくなってきたので、オーバーホールの際にパーツ欠品の可能性がある。だったら、当面はそういう心配がなさそうなZN6純正6速MTを載せようと思ったわけです」。

この組み合わせを可能にするのが、JHK製ベルハウジング。実はS30Z用の換装キットはすでに製品化されていて、今後ハコスカ用やケンメリ用、4A-G用などのリリースも予定されている。ちなみに取材車両では、プロペラシャフトは240ZG純正をベースにミッション側の先端部分を加工。デフもR180からR200に交換され、容量アップを果たしている。

ミッション換装で一つ問題になるのが車速の取り出し。240ZGはミッションに接続されたワイヤーケーブルで機械的にスピードメーターを駆動するが、ZN6純正6速MTではそれが不可能。

そこで、プロペラシャフトのジョイント部に四角いプレートを追加し、その角を読み取って電気信号に変換する車速センサーを装着。スピードメーターをオートメーター製の電気式に換えることで車速表示を可能にしている。

マフラーはダディーモーターワークスが手掛けたメインパイプ径76.3φのステンレス製ワンオフ品。テールエンドは大口径シングルではなく、240ZGのアイデンティティと言える縦デュアルを踏襲しているのが拘りだ。

ステアリングホイールは純正ながら、グリップ部のレザーを巻き直し。それと同じ素材でダッシュボードも張り替えられ、ボディ色に合わせたステッチがアクセントとなる。メーター類は全てオートメーター製が統一され、中央には水温/油温/油圧計が並ぶ。

また、ドアミラー交換に伴って狭くなった後方視界を確保するため、小型カメラを追加。ダッシュボード両端に設置されたモニターに映像を映し出す。

オートエアコンはダコタデジタル製コントロールパネルで操作。「アメリカ製なので“摂氏”ではなく“華氏”表示になってしまいますけど、機能面では全く問題ありませんよ」と尾頭さん。エアコン操作パネルの上に並ぶのはデジタル式A/F計と燃料計で、これもオートメーター製だ。

運転席、助手席共にシートはR35GT-R純正を装着。フロア加工はもちろん、サイドシル内側にもスライス加工を施してスペースを稼ぎ、できるだけ着座位置が低くなるようにセットされる。ブリッドやレカロではないところが技ありの選択。シートベルトは腰ベルトのみの純正2点式だ。

バンパーレス化によってスッキリした印象のリヤビュー。ボンネット、前後オーバーフェンダー、リヤスポイラーはカーボン製に交換される。ホイールは16インチのワークマイスターCR01でフロント9.0Jマイナス16、リヤ10Jマイナス28。タイヤは順に205/50、225/50サイズのアドバンネオバAD08Rが組み合わされる。

気難しさを見せることなく一発で始動するエンジンは、Lメカフルチューンの楽しさを残したまま日常域での扱い易さを劇的に改善。そこに、あらゆる意味で安心感をプラスするZN6純正6速MTを載せた240ZGは、今時旧車チューンのお手本のような1台だ。

1 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の1枚めの画像

2 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の2枚めの画像

3 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の3枚めの画像

4 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の4枚めの画像

5 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の5枚めの画像

6 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の6枚めの画像

7 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の7枚めの画像

8 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の8枚めの画像

9 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の9枚めの画像

10 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の10枚めの画像

11 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の11枚めの画像

12 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の12枚めの画像

13 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の13枚めの画像

14 / 14

「「貴重な240ZGでここまでやるなんて・・・!」アンチ定番チューニングの極意」の14枚めの画像

●取材協力:ダディーモーターワークス 愛知県豊明市沓掛町神明13 TEL:0562-85-9911

「570万円でも人気すぎて受注停止中!?」伝説の“TC24-B1Z”エンジンを搭載したOS技研S30Zの魔力

「L型チューンに革命を起こしたツインカム4バルブヘッドに迫る」OS技研のTCヘッドを搭載した4台のチューンド旧車に注目!

【関連リンク】
ダディーモーターワークス
http://daddymotorworks.com/

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption