「初代ロードスターを知り尽くした男の愛機」コスパ重視のレストア術に迫る!

令和に相応しいNA型ロードスター改の勇姿

街乗りを極めた新作の車高調も大注目!

ロードスタードリフトの仕掛け人として高い知名度を誇る“ラヴィッシュモーターワークス”。今回は、新たなデモカーとして導入した左ハンドルのミアータを通して、同ショップのマシンメイクに迫っていく。

サーキットで愛車を自由自在に振り回してドリフトを楽しむ代表の田中さんだが、根底にあるのは「ロードスターが大好きでいつでも一緒に過ごしたい」という想い。通勤やツーリングにも使いたいとの気持ちが高まった時、偶然にも手に入れたミアータは年式なりのコンディションで、長年の相棒とするためには大掛かりなレストアが必要と判断した。

結果、各部の錆落としから劣化したパーツの交換、さらにはボディの面出しや塗装のクオリティまで徹底的に追求し、完成に至るまでの作業は7行程にも及んだという。

鉄板をプレスする際に出るごくわずかな歪みまで修正しているため、フェンダーなどの滑らかさは純正の新品を超えるレベルだ。塗装も最新の設備と自身が積み重ねてきたノウハウを活かし、街並みに溶け込みながらも確かな個性をアピールする。

フロントウインドウを交換するなら、同時に行いたいのがスポット溶接増し補強。ウインドウ周辺とドア開口部だけでもボディ剛性は大きく向上する。
割れていなかったテールレンズやサイドマーカーは、あえて新品に交換せず磨いてコストダウン。費用対効果も重視したレストアだ。
メッキパーツは純正が絶版になっていなかったので新品に交換。価格も決して高くはないので磨くよりも手っ取り早いとのこと。

さらに、モールやウェザーストリップは純正が廃盤になっていなければ新品交換、入手が難しければリペアやコンディションの良い中古品で対応。雨漏りや極度のビビり音が発生してしまったらレストアと呼べず、かつ費用が跳ね上がりすぎては自己満足にしかならない。田中さんと同じく大好きなロードスターに乗り続けたいオーナー達のために、コストパフォーマンスを追求することも忘れていないのだ。

街乗り仕様である以上、エアコンは必須。このミアータはエバポレーターこそ純正のままだが、コンデンサーにはNA8用を流用し、さらに石井自動車のキットを使ってコンプレッサーを現行型のものに変更している。田中さんによると、真夏でも寒いほど効くようになったそうだ。

新開発のオリジナル車高調『マジックライドダンパー』も見逃せない。ローフォルムと上質な乗り味を両立するためにダンパーのオイルやバルブ形状を従来モデルから変更し、フロントスプリングも長くしてバンプストロークを調整。なお、レートはフロントが7kg/mmでリヤが6kg/mmとなっている。ラインナップはNA用とNB用で、いずれも27万2000円。

車高の調整はフルタップ式。前後ともヘルパースプリングは使っておらず、一定のプリロードをかけるセッティングを推奨している。

スプリングはHALの低反発タイプを採用。サーキット向け車高調のフロントは長さが7インチだが、マジックライドダンパーでは8インチをチョイスする。

細身のデュアルテールが特徴のマフラーは、ラヴィッシュの売れ筋アイテムの一つ。メインパイプが50φでテールは42.7φ、材質はSUS304で腐食にも強いのが魅力だ。価格は7万9200円となっている。

NA型ロードスターではインストールが難しい8.0Jプラマイ0のホイールも、ラヴィッシュならノーマルアームのままで装着可能。現役ドリフターらしく、ステアリング全切りでも干渉せず、乗り味も犠牲にしないアライメントデータを揃えているのだ。

リクライニングの量が限られるため、シートは割り切ってブリッドのフルバケットに。毎日の通勤にも使っているためオーディオも装備している。

完成したミアータは実際に田中さんが毎日の足として使っており、今後は各地のイベントにも積極的に参加していくそう。ボディと足の職人が作り込んだ『令和のNA型ロードスター』。レストアを考えているオーナーにとっては、お手本になる1台と言えるだろう。

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●取材協力:ラヴィッシュモーターワークス 岩手県盛岡市上飯岡6地割44-5 TEL:050-5438-5017

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