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仕様違いのエンジンを3タイプ用意した、合法ストリートチューニングプログラム
新車ベースのコンプリート販売ではなく、持ち込み車両に対してチューニングを実施!
1995年にアメリカからの外圧によって緩和された自動車部品規制。いわゆる合法チューニング化を背景に誕生したのが、マツダスピードによるストリート向けNAロードスターチューニングプログラムの“ツーリングキット”だ。『深化する人馬一体感。』をコンセプトに開発したパーツ販売とチューニングサービスで、オーナーの誰もが依頼できたという意味では比較的レア度が低かったと言える。
まず登場したA-スペックではエクステリアの他、タコ足やマフラー、ショックアブソーバー、スタビライザー、ブレーキパッド&ホース、LSDなど22アイテムを用意。そしてB-スペックでは、持ち込み車両に対して本格的なエンジンチューニングを施していた。
B-スペックには3タイプのステージ(ステージI&IIは1.6Lと1.8Lに対応、ステージIIIは1.8L専用メニュー)が用意され、一般的に注目されるのは吸排気にハイカム、ハイコンプピストン、そしてAE101流用の4連スロットルを装備したステージII。ステージIIIでは、さらに1929ccへの排気量アップとDジェトロ化が図られていた。
今回捕獲したオーナーのNA8Cは、最もライトチューン仕様のステージI。オリジナルで残っているのはIN/EX255度8.8mmリフトのハイカムで、エアクリーナーはHKS製に変更されている。
排気系は本来、4-2-1ステンレスEXマニにφ76.5ステンマフラーという組み合わせだが、取材車両ではEXマニがフジツボ製に、マフラーはK1レーシング製に交換されている。
ちなみにNAロードスター乗りの間で定説となっているのは、純正エアフロのせいで4スロのメリットが活かし切れていないステージIIなら、ステージIの方が速いくらいということ。また「B-スペックはM2の抽選に外れた人のために設定されたらしいよ…」というのも、よく知られた噂話らしい。
バルクヘッドに追加されたマツダスピードのプレート。なぜかシリアルナンバーが見当たらないが、その理由は不明。
B-スペックは車両持ち込みカスタムなので、インパネ周りなどは基本的にノーマル。ステージIにはオプションで強化クラッチとクロモリ製の軽量フライホイールが設定されていた。
オーナーはショートサーキットを中心に走りを楽しんでいて、トップクラスのタイムを記録しているとか。バケットシートやレーシングハーネスはそのための装備だ。
ホイール&タイヤは、スタンスマジック#080(FR8J×15+25)にディレッツァZIII(FR195/50-15)の組み合わせ。サスペンションはオーリンズダンパー+MAQsスプリングというセットアップで、アッパー加工によってストロークを確保。LSDはマツダスピード製を奢る。
約6年前に中古車屋の友人に勧められて購入した初めての愛車がこのB-スペック。外装はジェットストリームのダックテールとフロントのBリップが変更点。
1.8Lらしいトルク感とスムーズな吹け上がりの気持ち良さはM2 1028とほぼ同様だが、B-スペックは4000rpm付近でトルクの谷があり、そこから一気に吹け上がるやや高回転型の味付け。より高回転をキープしながら走るのが楽しいフィーリングだと感じた。
TEXT:川崎英俊(Hidetoshi KAWASAKI)/PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)