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遠心式GTスーパーチャージャーでRX-7並みの走行性能を獲得
大風量のHKS GTS8551でセットアップ
NAエンジンしか設定のないRX-8に、RX-7のようなターボモデルの登場を期待したユーザーは少なくないはず。最後までそれは実現しなかったが、静岡県の“RSパンテーラ”はパワー志向のユーザーに向けて、独自のチューニングメニューを作り上げた。
「RX-8に初めて乗った時、RX-7よりパワーは無いけど吹け上がりの気持ち良さは上だと感じたんです。だからこの吹け上がりの良さを残しつつ、トルク不足を補いたいと思い、遠心式スーパーチャージャーを取り付けることにしました」とはRSパンテーラの佐藤代表。
パワーアップの手段として、ターボではなくスーパーチャージャーを選んだのにはもちろん明確な理由がある。まず、RX-8用の13B-MSPエンジンは排ガス対策のために吸排気ポートのオーバーラップがなく、排圧も低いためターボとのマッチングが良いとは言えない。また、スペース的な都合からターボ特有の熱害を防ぎにくいという点も大きい。
さらに、レブリミットに向かってモーターのように伸びていくロータリーエンジンのパワーフィールと、回転数に比例して過給が高まっていくスーパーチャージャーの特性は、非常にマッチングが良いのである。
レイアウトの都合上、スーパーチャージャーは目視できないが、エンジン本体の助手席側(パイピングの下)にGTS8550が装備される。プーリー比の調整によって、最大ブースト圧0.8キロ時に320ps/29kgmを実現している。
エンジン本体に関しては、「軽量化されたRX-8の13Bエンジンでは、350ps程度が限界。エンジン自体がしなろうとする力に耐え切れず、フロントハウジングのダウエルピン穴に亀裂が入ってしまうんです。そこで、ダウエルピンに段付き加工を施した上でピンを2本追加して強化しています」と佐藤代表。
ローターに関しても、圧縮を均等に、かつ最適な燃料室形状になるよう機械加工したスペシャル品を採用。FC3S前期用の燃焼室誤差が2.81ccなのに対し、このローターは誤差0.47ccと精度を高めているのだ。
また、純正の樹脂製インマニは過給圧に耐えられないためキャンセル。代わりにオリジナルのアルミ鋳物製を導入している。左側の四角いボックスは負圧コレクターだ。
マネージメントは純正のエアフロを使用し、メインECUの書き換えで過給機チューンに対応。インジェクターは550ccに大容量化済みだ。
排気チューニングも抜かりなし。EXマニは高性能に拘ったオリジナルのプレミアムEXマニホールドを装備。この製品は、13B-MSPの排気ポート形状に合わせた角断面フランジを採用したスペシャルで、1.2mm厚のプレス成形パイプや集合部の形状など、妥協することなくハイパワー&ハイレスポンス&軽量化を追求した逸品だ。
センター出しのマフラーもRSパンテーラのオリジナル。排気効率を重視しながら音質まで追求した自信作とのこと。
ロールケージこそ装着されているものの、室内は非常にシンプルなメイキング。それでも各部に軽量化が行われ、車重は1270キロまで落とし込まれている。シートはレカロのフルバケットだ。
コラム奥にマウントされているメーターは、RSパンテーラオリジナルの“タイヤヒートメーター”。タイムアタックなど、タイヤの温度管理が重要なステージで役立つアイテムだ。
ルーフやトランクフードは、さりげなくドライカーボン製に交換。フロントフェンダーに装着されるフェンダーフィンは、フロントのダウンフォースを高める空力パーツだ。
この13B-MSP改スーパーチャージャー仕様の制作費は、200万円前後の予算感とのこと。打倒RX-7を誓うRX-8乗りは、パワーチューニングの選択肢の一つに加えてみてはいかがだろうか。
●取材協力:RSパンテーラ(佐藤商会) 静岡県富士宮市北山5220-2 TEL:0544-58-4837
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