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2JZ-GE換装でツアラーV並の性能にリメイク!
インテリアは総張り替えで高級感アップ
第一次オイルショック→排出ガス規制強化→第二次オイルショックと、1970年代前半以降は自動車業界にとっては最悪の連鎖が続き、日本のメーカーがやっとの想いでその闇から抜け出すことができたのは、1980年代の初頭だった。
その暗黒期の真っ只中、1976年(昭和51年)にデビューしたのが3代目マークIIだ。当時のアメ車から強く影響を受けたセミクラシックデザインは個性的の一言で、現在でも『ブタ目』の愛称と共に旧車マニアから高い支持を得ている絶版車だ。
ボディ形状は、4ドアセダン/2ドアハードトップ/ステーションワゴン/バンの4タイプ。デビュー時のエンジンバリエーションは、先代同様の2.0L直4キャブの18R-U型(100ps)、2.0L直6キャブのM-U型(110ps)、2.0L直6インジェクションのM-EU型(125ps)という3種類に加え、2.6L直6キャブの4M-U型(135ps)も用意された。
ちなみに、この型から販売系列の異なるオート店用に姉妹車のチェイサーが設定され、やがてはツアラーVに繋がっていくものとなる。
今回紹介するマークIIは、1978年前半のマイナーチェンジ前モデル。現代のスポーティセダンと同等以上の快適性と動力性能が与えられたチューンドだ。細部を見ていく。
エクステリアは車高とホイール(14インチのワタナベ・エイトスポーク)が変更されている程度で、ストック状態をキープ。遠目には程度の良い旧車に感じるだけだが、近寄って室内を覗き込むと恐ろしいほど手が入っていることに気づく。
アイボリー系のツートンレザーで仕立て上げられたカスタムインテリアは、美麗の一言。ルーフからフロアまでワンオフで張り替えられており、とても40年前の車両とは思えないビルドクオリティを誇る。
ステアリングはウッドリムのナルディクラシック。オーディオにもキッチリと手が加えられ、快適なカーライフを約束する極上の仕上がりだ。
また、元々オートチョークのトラブルを抱えるなど始動からして不調だったというエンジンは、オーナーが安心して乗れるように換装。ドナーとなったのはJZA80スープラで、SZ(NA/5速MT)のパワートレインをゴッソリ流用している。レーシングな走りをするほどのパワーを求めたわけではなかったため、あえて安定感のある2JZ-GEを選んだそうだ。
燃料ポンプはアウトタンク式が必要だったため、FJ20エンジン用を流用している。
エキゾーストマフラーも、補修を主な目的にしてワンオフ。音量も可能な限り抑えられるよう大型のサイレンサーを組み込んでいる。
その他、パワステのポンプやエアコンのコンプレッサーも2JZ-GE用を使い、旧車に起こりがちなマイナートラブルの芽を徹底排除。レストアしながらストック状態を保つのではなく、最新メカを移植して生まれ変わった相棒と新たな付き合い方をする。これもまた旧車チューンの一つの回答だ。