「ポルシェを置き去りにする2代目シビックシャトルが無敵すぎ!」1000馬力で4WDの魔改造チューンド!!

K24エンジン+4WDスワップ仕様のEFシビックシャトル

最先端のチューニングテクノロジーを凝縮!

ストリーミング配信サービスのNetflixで、2018年から放送されている“fastest Car”という番組をご存知だろうか? 日本でも『最速の称号』というタイトルで「シーズン1」と「シーズン2」が配信されている。

その記念すべきシーズン1の初回に、アメリカでは「ママが子供のサッカーの送迎に使うミニバン」と揶揄されるホンダ・オデッセイで、フォードGTに挑戦状を叩きつけたのがビシモト・エンジニアリングのビシ・エゼリオハであった。

かつて、WEB OPTIONでも紹介したビシモト・オデッセイは、V6ターボで最高出力1029hpを発揮するモンスターミニバン。ビシモトの名声を世界的に広めた出世作でもあるが、残念なことに番組内のレースではFFということもあって巨大なパワーをトラクションに結びつけられず、4台中4位という結果に終わってしまった。

その悔しさを忘れられずにいたビシに「じゃあリベンジカー作っちゃおう!」と、パーツの取引先でもあるAEMインテークスのスタッフが提案。それで一気に火がついたビシは、シビックワゴン(日本名シビックシャトル)をベースに、速くて強い、トラクション・フレンドリーなスリーパー・シャトルの製作を決意したのである。

なぜベースにシビックワゴンを選択したかというと、元々ホンダ車でドラッグレースの腕を磨いてきたビシは、以前にもD16Z型の直列4気筒SOHCターボで700hpという超弩級のシビックワゴンを作った経験があったから。

ビシの中では、そのシビックワゴンの発展形がオデッセイだったという思いもあったため、原点回帰すると同時に、モダンなテクノロジーを注ぎ込んだアップデートバージョンを作ってやろうと考えたわけだ。

そうして、2018年のSEMAでのお披露目を目指して急ピッチで製作がスタートした新生シビックワゴン。エンジンは、アキュラTSXなどに使われるK24Z3型のシリンダーブロックに、シビックSiなどに使われるK24Z7型のヘッドをドッキング。その狙いはタービンの効率アップとクリーンなレイアウトを実現することだ。

というのも、K24Z7型のシリンダーヘッドはEXマニ一体構造となっており、排気ポートの出口は短くて広い一口穴となっている。タービンとの距離が極めて近くなるので、ターボラグの少ない効率的なスプールが期待できる上に、エンジンルームもすっきりするとビシは語る。

エンジンルームを覗くと、プロジェクトのキッカケを生んだAEMインテークス製作のカスタムボックス付きターボインテークが、その一等地に配置されている。

最も拘ったのはタービンレイアウトで、EXマニ一体のK24Z7型ヘッドにPRLのターボマニホールドを接続し、ターボネティックスの72mmビレットターボをトップマウント。理想的な取り回しを実現するため、ハウジングの回転方向が通常とは逆のリバース・オリエンテーションも採用した。

燃料系は高圧・大容量に作り変えられ、E85を使用するためフレックスフューエルセンサーも装備する。

エンジニアとしても卓越した能力を持つビシは、複雑な制御が要求されるドライブ・バイ・ワイヤやCAN-BUSネットワークも導入。

そしてCR-Vのミッションケースとデフ、リヤトレーリングアームを移植した4WD化も実現! 前輪の回転数が後輪のそれを上回る発進時には油圧で後輪に駆動力が伝わるデュアルポンプデフの特性を活かし、スタート勝負のゼロヨンにおけるトラクションとスタビリティを高めている。

ホイールはオールドスクールな雰囲気にマッチするフィフティーン52の鋳造ワンピース、インテグラーレを装着。サイズは7.5J×17。ハブボルトは5穴にコンバージョンされており、フロントにはバーディクラブのビッグブレーキも備わる。リヤホイールに装着されているのは、ベルギーにあるD-lng Designsのカスタムターボファンだ。

エクステリアは、純正フロントバンパーを加工して、PRLのインタークーラーががっつり見える、ビシモトのシグネチャースタイルを表現。純正テールゲートスポイラーを備える一方、外板はあくまで純正然とした見た目をキープ。ルーフはブラック、ドアミラーはオレンジとアクセントを効かせながら、全体をマリーナブルーで染めるカスタムペイントを施した。

クロモリ製の6点式ロールケージを備える室内。ドアトリムやシートなどの内装はSOSカスタムズによってカスタムメイドされている。MOMOのステアリングにはスイッチがふたつ備わり、右がホーン、左がタービンのアンチラグシステム用となっている。

メインメーターは、フルコンLINKインフィニティECUの情報をAIMのCD-5デジタルダッシュに表示させる最新システムを採用する。

トランスミッションのベルハウジングとトランスファーケースはCR-Vの純正品だが、中身はクワイフのシーケンシャルミッションに換装。ニョキッと突き出たシフターが、このクルマのユニークさを象徴する。

今のところ“Fastest Car”最新作への出演は果たされていないビシモト渾身の新生シビックワゴンだが、すでにドラッグレース場でのシェイクダウンも完了。リベンジを果たす瞬間に向け、準備は万端だ!

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PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

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