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700馬力の出力で実測310km/hオーバーを達成!
圧倒的なチューニング適合度を再確認
このJZA80スープラは、富士スピードウェイをホームコースとするオーナーの愛機。その動力性能は凄まじく、OPTION誌の最高速テスト企画で実測314.4km/hをマーク(V-BOX計測)するほどのポテンシャルを誇る。細部を見ていく。
エンジンはオーバーホールと同時にチューニングを敢行。腰下はHKS87φ鍛造ピストンとJUNコンロッドで強化した3.1L仕様となる。
ヘッドは272度/9.3mmリフトのHKSカムシャフト装着に合わせ、バルブリフター&リテーナーをRB26用に交換。リフターはインナーシム式となるため(2JZ純正はアウターシム式)、シム調整が楽で、さらなるハイリフト化にも対応できるということでチョイスされた。また、バルブスプリングはVG30用JUN強化品をセット。いずれも無加工での装着が可能だ。
タービンはT88-33D(18cm2)を装着。かつて装着していたT78-33Dでは、耐熱バンテージを巻いたEXマニが熱でゆがんでオイル漏れが発生したため、サイズアップが図られたのだ。最大ブースト圧1.55キロ時に700psを発揮。パワーバンドが4000~8000rpmと幅広いのもポイントだ。
吸気系はインフィニティ90φスロットルとJUNサージタンクで効率アップ。また、2基のニスモGT-R用ポンプとサード1000ccインジェクターで燃料系も大容量化されている。燃調と点火時期の制御はF-CON Vプロが担当。
サーキットマシンらしく、冷却系のチューニングも抜かりなし。ラジエターにサードアルミ3層、インタークーラーにトラストBCNR33用コア(幅700mm)を投入することで、真夏の富士を連続周回しても熱ダレやオーバーヒートの兆候を見せないクーリング性能を手に入れている。
排気系は高回転域での効率を重視して、ブリッツ80φフロントパイプ+ヴェイルサイド90φチタンマフラーという組み合わせ。また、サードGTウイングFUJI(幅1800mm)やトップシークレットリヤアンダーディフューザーの装着によって、空力特性も改善されている。
サスペンションはHKSのハイパーマックスプロ(F24kg/mm R20kg/mm)を軸に構築。ブレーキはフロントに6ポット、リヤに4ポットのエンドレスキャリパーを導入してストッピングパワーを強化している。ホイールはボルクレーシングTE37(F9.5J R10.5J)で、タイヤにはアドバンネオバ(F265/35-18 R295/35-18)をセットする。
ロールケージや追加メーターが備わり、サーキット仕様らしく仕上げられたコクピット。なお、純正タコメーターは反応が遅すぎるという理由で、同位置にデフィの11000rpmスケールタコメーターをインストールしている。
「狙っていたのは200マイル、320km/hオーバーだったのですが、ビビってしまってアクセルを踏み切れなかったのが心残りです。6速7000rpm付近でも路面に張りつくような感じで挙動は安定してましたからね」とはオーナー。
目標には一歩届かなかったのものの、アタック中の最大加速Gは0.64Gと非常に高く、200〜300km/hまでの加速勝負ならR35GT-Rをも撃沈できるレベルであることが分かった。
ストリートで不満なく走れるリーガル性と快適性を保持したまま、世界中のどんなスポーツモデルとも真っ向勝負できる戦闘力。このチューンドを見ているとつくづく感じてしまう。GRスープラにバトンタッチしてもなお、JZA80型の輝きが鈍ることはないということを。