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走り屋目線に立ったマシンメイクが身上!
個体差に合わせた最適解を徹底追求
ラヴィッシュモーターワークスは鈑金業をメインとしつつも、代表の田中さんのクルマ作りに感化された走り屋達が集まるうちに本格的なチューニングショップとして活動するようになったというお店だ。
開業して6年目、まだ34歳の新進気鋭の若手チューナーであるが、田中さんから受ける印象は“年齢に見合わぬ理論派”である。もっと失礼な言い方をすれば“データオタク”とも呼べるほど、AE86のクルマ作りに関するデータは頭に叩き込まれている。装着パーツに関する説明も理路整然としていて、フィーリングではなく、しっかりとした理論で説明してくれるのでユーザーにとって頼もしく感じられるはずだ。
「9台目のこのハチロクで“クルマ作り”を学んだ」という現在の愛車は、10年ほど前に個人売買で30万円で購入した個体だ。オールペンが趣味と言うだけあってボディはこれまでに何度も塗り直され、最近ガングレーになったそうだ。
前後フェンダーは鉄板溶接加工で、フロント9.0J×14マイナス25(スペーサー5mm)、リヤ10J×14マイナス36のSSRスターシャークを履きこなす。
AE92後期ブロックにAE86ヘッドをドッキングした定番エンジンには、戸田の81φ高圧縮ピストンやAE92コンロッド、AE111クランクによって圧縮と強度をアップ。その他、ダイレクトイグニッション化、ヴィッツ(NCP10)用コイル流用、AE111純正4連スロットル、テッカム(IN/EX 296度)、フルコンLINKなどの組み合わせにより、ハイレスポンスな200psを実現している。
内装は純正部品を多く残した極上コンディション。ドア内張りまで装着されているため分かりづらいが、ドアパネルはFRPの軽量モデルに交換されていたりする。
ドリフト時のホールド性を重視して、シートにはブリッドのジータIVを導入(助手席はジーグIII)。クスコのロールケージは9点式にサイドバーを追加し、さらにドア開口部とフロア周辺をスポット溶接増しすることでボディ剛性を強化。元はサンルーフ付き車だったが、ドライカーボンルーフ化により21kgもの軽量化と剛性アップを実現している。
ドリフト仕様に必須となる切れ角アップナックルは、ラヴィッシュオリジナルの試作品を装着。フロントの車高調はYZスポーツ、リヤはセクションのショックに前後ハルスプリング(F8kg/mm、R5kg/mm)をセットする。
得意ジャンルはドリフトというだけあり、足回りのセットアップにかけては特にノウハウが充実している同店。しかし、「それはどんなハチロクにも当てはまるわけではありません」と田中さん。
旧車と呼ぶべき昭和車ゆえに、長年の酷使もあって車両の個体差は千差万別。クルマ作りには定番とされるセオリーはあっても、それが必ずしも当てはまるとは限らないのが今時のハチロク事情だという。ネットで入手した情報通りにDIYで作業したものの、車両の個体差を鑑みないままドツボにハマるユーザーも少なくない。それは時間と費用を無駄にする遠回りに他ならないのだ。
速くて綺麗なハチロクを作って乗りこなす理論派の走り屋がいるお店。そこに足を運んで現車合わせの作業をしてもらう事が、今や中古車価格が200万円オーバーとなった“高級車”を快適に楽しむ最善手になるだろう。
●問い合わせ:ラヴィッシュモーターワークス 岩手県盛岡市上飯岡6地割44-5 TEL:050-5438-5017
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ラヴィッシュモーターワークス
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