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特注サイズには伝統の砂型鋳造で対応
日本一の知名度を誇るRSワタナベの工場に潜入!
18インチモデルの登場により、ますます勢力を強めるRSワタナベの『エイトスポーク』。このホイールの製法は、50年前から脈々と受け継がれる“砂型鋳造”が根幹となっていることをご存知だろうか。
砂を入れるベースとなる木型に、1本1本丁寧に砂が込められ精密に造形。それから鋳造工程へと進むのだが、鋳造が終わるとその砂型は壊されてしまうという儚さ。それ故、砂型鋳造のみでの生産量は月間で僅か50本程度だという。
あまりに効率が悪いため、主力は金型を使った鋳造となっているが、今でもレアサイズや特注品などを製作する際には砂型鋳造を採用していたりする。今回は、そんな砂型鋳造ホイールの製作模様を順に見ていこう。
1.木型に砂を詰める
砂型鋳造でのホイール製作の第一歩は、木型に特製の砂を詰めることから始まる。そこに特殊なガスを注入することで砂が硬化するのだ。
2.溶解炉でインゴットを溶かす
溶解炉には鋳造用アルミのインゴットがくべられ700度以上まで加熱。アルミが液体になれば、鋳造のスタンバイOKだ。
3.型に溶けたアルミを流し込む
溶解したアルミをひしゃくで掬い、湯口から型へと流し込んでいく。こちらの画像は金型鋳造のものだが、溶解したアルミを型に流し込むのは砂型でも同じだ。
4.枠組みから砂とホイールを分離
アルミが冷えたらフォークリフトで分解場へと移動。そしてリフトに乗せたままの状態で枠組み(スリーブ)を金槌で叩くと、砂とホイールが地面に落ちる。
5.振動ドリルで砂を落とす
振動ドリルを使ってホイールの外側、内側の砂を落としていく。すると、お馴染みのワタナベ・エイトスポークが姿を現す。
6.NC旋盤で厳密な寸法へと切削
最後はNC旋盤を使って厳密な寸法へと切削。写真の上半分が切削後。ピカピカの鏡面となり、いよいよ完成に近づいてくる。この後、ショットブラスト、熱処理、塗装などが行なわれ、検品を経て完成となる。
受け継がれる技術と意思
こうした技術は、ベテラン職人から若いスタッフへと脈々と継承されていく。何より、伝統製法やデザインを50年以上も守り続け、それが現在でも十二分に通用する走りのポテンシャルには脱帽しかない。
いかに初手のデザインや設計がエポックメイキングだったのかを思い知らされる。伝統を守るだけでなく、時代時代の要望に応じた製品展開にも精力的なRSワタナベ、その動向には今後も目が離せない。
取材協力:レーシングサービスワタナベ
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レーシングサービスワタナベ
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