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バンピーな峠の路面もしなやかに受け流す!
極限までフリクションを抑え込んだ拘りの設計
オランダ生れの高性能サスペンションとして知られるアラゴスタ。大径ピストンやアルミ鍛造シリンダーにより生み出されるしなやかな乗り味は、走りにうるさい根っからのクルマ好きを魅了してやまない。
特筆すべきはその精度。単筒式のシリンダーは真円度を高めるためにホーニング処理を実施。さらにフリクションを抑えるためにカシマコーティングを施すなど、拘りは枚挙にいとまがない。
そんなアラゴスタの車高調キットを開発しているトップラインプロダクトでは、サーキットばかりでなくターザン山田を起用してワインディングでの開発テストも行っている。その理由は、荒れた路面をいなせるようなより懐の深いサスペンションに仕上げるため。今回はその開発現場に立ち会う機会に恵まれた。
テスト車両はGRヤリスRC。装着したのはアラゴスタのスポーツグレードとなるタイプS。全長調整式や20段減衰力調整機能を備えたハイスペックモデルだ。スプリングレートは、フロント11kg/mm、リヤ10kg/mmで、フロントはピロアッパーマウントも装備する。
GRヤリスは純正サスの完成度が高いため、おのずとハードルは高まる。しかし、さすがはアラゴスタ。試作車高調は、テスト走行1本目から非常に好印象との評価が得られた。
「凄く良い感じ。しなやかな乗り味で、接地感も高い。ただ、ハンドルを切った時に初期の減衰力がもう少し欲しいかな。それと減衰力を締め込んでいった時の変化量がもっと大きければ、なおさら良いと思う」とターザン山田。
それを踏まえて、ピストンを1ホールから0ホール仕様へと交換。併せてシムプロフィールも変更することに。ダンパーを外して手際の良い作業でバラしていくトップラインプロダクトの敏腕エンジニア。アッと言う間に仕様変更を完了し、2回目の走行に入った。
「舵角を入れた時の反応や4輪の接地感、ダンパーを締め込んだ際のフィールなど全て合格点。減衰力はこの仕様で決まりで良いと思う。ただ車高バランスのせいか若干、アンダーステアが出る。フロントを下げるか、リヤを上げるかを試したいな」とコメント。
そこでリヤを6〜7mm上げて、3回目の試乗。車高バランスも改善され、納得のいくフィーリングに仕上がった。
「絶対的な速さとコンフォート感がうまくバランスされている。安定感が抜群で、思い通りのラインをトレースしていける」と、ターザン山田も大満足。実際に、外から走りを見ていても、その安定感に度肝を抜かれた。
BCNR33型GT-RやN-ONE用車高調の開発も並行して行なわれたこともあり、まさに1日がかりとなった今回のワインディングテスト。ユーザーに喜んでもらえるサスペンションを届けたい。そんな思いで、妥協のない開発が展開されていたのが印象的だった。
なお、今回のテストを踏まえた製品版は、ピロアッパー仕様で34万1000円での発売が予定されている。ワンランク上の車高調を望むGRヤリスオーナーは期待せよ!
●問い合わせ:トップラインプロダクト 千葉県柏市高柳1147-2 TEL:04-7190-1391
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トップラインプロダクト
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