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ギヤ比設定がベストではない状態でもクラス2位の好タイム!
SOHCのF6Aで最高出力190馬力を発揮
ダートレースやトライアルで数々の栄冠を手にした静岡県のジムニーカスタムショップ“ダークホース”。そんな名門ビルダーが作り上げたサーキットタイムアタック仕様のJA11が今回の主役だ。
その速さは凄まじく、Attack筑波2023のジムニーSLクラスで1分12秒204をマーク。あっさりとクラス2位のタイムを叩き出し、周囲を沸かせたのだ。
ベース車両はJA11の幌車(フルメタルドア)。タイムアタックではDOHC(K6A)エンジンにコイルスプリング式のサスペンションを持つJB23系が優位とされる中、豊富なノウハウと軽さを武器にパフォーマンスを追求しようというわけだ。
まず注目したいのが、JA11標準のOHCタイプF6Aエンジン。ジムニーSLクラスに参加した全10台中で唯一のシングルカムエンジン搭載車だ。エンジン内部はK6A用鍛造ピストンとクロモリ製I断面コンロッドで強化。カムはオリジナルの264度で、ポートの拡大加工なども施されたフルチューンスペックとしている。
組み合わされるIHI制のRHF4(A/R8.5)タービンは、インプレッサやレガシィの純正に採用されているモデル。2.4mm厚のヘッドガスケットで圧縮比を8.0設定とし、最大ブーストを1.9キロに設定。最高出力は何と190psに達しているというから恐れ入る。
冷却系はラジエターがJB23、インタークーラーは日産アベニールと他車種流用で構成されているのも面白い。ミッションはカプチーノ用の5速MTとなっている。
足回りも流用の嵐で、ショックアブソーバーはフロントに日産キャラバン、リヤにトヨタハイエース用をそれぞれ強化してセット。JA11の特徴であるリーフスプリングも強化増し済みだ。ホーシングは前後ともJA11純正品で、フロントは駆動をカットして完全FR化している。
ブレーキはフロントが純正キャリパーにスリットローター、リヤドラムはSJ30流用。ホイール&タイヤはボルクレーシングTE37(FR7.0J−15)にディレッツァβ02(FR205/55−16)を組み合わせる。分厚いスペーサーも追加してワイドトレッド化を図っている。
室内も走りに徹したスパルタンな作り。7点式のロールケージにはステー補強も加えられている。メーターはセンターコンソール部分にデフィのスポーツメーターをセット。レカロRMSシートの後方には、ウレタンで荷室との隔壁が設けられている。
実のところ、今回のタイムは裏ストレートで4速吹け切りを狙ったギヤ比設定が合わない状態でのもの。今後はさらなるタイムアップを目指してフルコン化(現在はカプチーノECU+トラストeマネージ)も検討中とか。ダークホースJA11のさらなる躍進に期待したい。
REPORT:川崎英俊/PHOTO:金子信俊&川崎秀俊
●取材イベント:Attack筑波2023