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約350馬力のM64改6連スロットル仕様をフルコンで完全掌握!
モーテック制御でストリートでの快適性も追求
今回の主役は、旧車チューニングを得意とする“プロショップ・ナカガワ”の中川代表が心血を注ぎながら育てているタイプ964型のポルシェ911カレラ2だ。
製作コンセプトは『外観ノーマル風のストリートチューンド』というもの。最終的にはターボルック(純正ワイドフェンダー)へと発展させていく計画だが、あくまで純正然としたルックスでサラリと乗りたいとのこと。
心臓部のM64エンジン(3.6L)は、鍛造ピストンや強化コンロッドを投入して強化しながら圧縮比アップ。カムはNAメカチューンを前提に、WebCamのIN304度/EX284度を選択している。
そして吸気環境は、TWM社の50φキットでITB(インディビジュアル・スロットル・ボディ)化。マネージメントは、日産RB用のクランク角センサーを移植した上でモーテックM84によるフルコン制御を構築。ピークパワーは350psに迫るというから恐れ入る。
ちなみに、他とは違うオリジナリティを実現しつつエンジンのパフォーマンスもアップするITBは、世界中で再び脚光を浴びている古くて新しいチューニングだ。
一方の点火系は、R35GT-Rのコイルなどを使ってダイレクトイグニッション化。ツインプラグ仕様のエンジンであるためコイルを12個装着する必要があるが、スペース的に一箇所にまとめて配置することは厳しいため、エンジンルーム内で3個×4ヶ所に分けてセットしている。
排気環境は市販品で構築した暫定のスペック。いずれは、チューニングエンジンに合ったフルエキゾーストシステムを製作して更なるパフォーマンスアップを狙っていくそうだ。
足回りはビルシュタインの車高調でセットアップ。ホイールはRSカップカー用の純正で、そこにダンロップのスポーツMAXX(F205/45-17 R255/40-17)を組み合わせる。エクステリアはスリーパー(Sleeper)仕様を徹底しているわけだ。
インテリアも純正風の仕上がりだが、実はドア内張りをRSグレードに変更し、ステアリングも380mmのエアバック付きからタイプ944の純正(小径/オフセットタイプ)へとチェンジするなど、随所にマニアックなモディファイが敢行されていたりする。スピードメーターは純正で300キロのフルスケールタイプ。アナログのメーターパネルが精密機械を連想させる。
「子供の頃からあのカタチに憧れていて、いつか乗りたいと思っていたんです。ただ、あの時代のエンジン制御は稚拙でトラブルが多く、気難しさもある。それを現代のチューニング技術でアップデートして、気兼ねなく楽しく乗り回せる仕様にしたかったんですよ」とは中川代表。
厳選したパーツと緻密なセットアップ。内燃機関を熟知するトップチューナーならではのノウハウが凝縮した、まさに理想的チューンドだ。
取材協力:プロショップ・ナカガワ 兵庫県姫路市余部区下余部1239 TEL:079-272-3883
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