スマホ操作しながらの「ながら運転」は非常に危険かつ重罰

今やスマートフォンは、日常生活に欠かせないツールとして広く普及している。しかし、運転中のスマホ操作、いわゆる「ながら運転」は、重大な交通リスクを伴う行為であることを忘れてはいけない。
警察庁が公開する2020〜2024年の「携帯電話等使用有無別死亡事故率比較」のグラフによれば、携帯電話等を使用していない場合の死亡事故率は、0.71%だ。
一方、使用した場合は2.63%と、使用していない場合から約3.7倍も死亡事故率が高くなっているのだ。これに伴い、2019年12月1日に、「ながら運転」が厳罰化された。さらに、警察庁は、「自動車が2秒間に進む距離」というデータも公開している。
これによれば、時速60kmで走行した場合、2秒間に約33mも進むという結果が出ている。つまり、スマホに目を移すわずかな時間でも、危険回避の余裕が失われやすいということだ。
そして、前述の道路交通法改正により、スマホを保持して通話や画面注視をおこなう行為は、携帯電話使用等(保持)違反として、違反点数3点と1万8千円の反則金が科せられることになる。
さらに、これによって実際に交通の危険を引き起こした場合は、違反点数6点が加点される。これは、一発で免許停止処分になるほどの重い罰則だ。あるいは1年以下の懲役または30万円以下の罰金と、いずれにせよ重いペナルティが科せられるのである。
スピーカー通話は厳密には違反ではないが、推奨されない

前述のように、道路交通法においては、スマホ操作は「運転中に携帯電話等を保持して通話・画面注視する行為」として明確に禁止されている。
そして、これには信号待ち中も原則として該当するという。しかし、信号待ち中に固定されたスマホやスピーカー通話を用いる場合には、「手で保持しない」条件を満たしていないため、厳密には法律違反にはならないようだ。
とはいえ、警察庁は「運転している間は、たとえ停車中でも画面注視は危険」と強く警告しており、安全面や法的グレーゾーンを考えると推奨される行為ではない。法令上は、停止中に固定されたスマホやスピーカー通話を、スムーズに利用することは可能と理解されている。

しかし、実際の日常的な運転行動では、安全最優先の判断が求められる。運転中や信号待ちの際も、操作はできるだけ避け、必要な場合は「安全な場所に停車する」という気配りが、事故防止と法令遵守の両面から望ましいだろう。
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ちなみに、自転車による「ながら運転」も、法改正により厳しい罰則が科されるようになっている。警察庁の資料によれば、自転車利用者にも「安全運転義務」が課されており、スマホを見ながらの走行や通話しながらの運転は明確な違反行為とされている。
そして、近年は特に、自転車による交通事故が社会問題化しており、その多くに不注意や「ながら運転」が関与しているというのだ。少しの油断が大きな事故を招く可能性があるため、自転車だからといって気を抜いてはならない。
クルマであれ自転車であれ、運転する際は常に周囲に目を配り、交通ルールを遵守し、安全運転を徹底する責任がある。すべてのドライバーが自覚を持って走行することが、交通事故を未然に防ぐ鍵となるのだ。
道路交通法の条文・罰則
〇 改正道路交通法の条文
(運転者の遵守事項)
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
五の五 自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
〇 罰則等
(1) 携帯電話使用等(交通の危険)
罰 則 1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
反 則 金 適用なし
基礎点数 6点
(2) 携帯電話使用等(保持)
罰 則 6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
反 則 金 大型車2万5千円、普通車1万8千円、二輪車1万5千円、原付車1万2千円
基礎点数 3点
※点数制度の適用を受けるのは自動車と一般原動機付自転車
※自転車は交通反則通告制度の対象外

