トルクフルで余裕のある走り 操舵感覚や乗り心地は別次元

2022年に日産の軽自動車初のBEV(電気自動車)として発売されたサクラ。トールワゴンのデイズをベースにアリアと同様のタイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズムという和テイストのデザインを採り入れている。BEVを象徴するため、光るVモーショングリルとエンブレムを採用。エンジンがないため塞がれたグリルは、シームレスで薄いヘッドランプとともに先進的な印象となっている。
エクステリア




20kWhとBEVにしては小容量なバッテリーは床下に搭載されるが、室内高はデイズと同等を確保。そのために全高は15㎜高く、地上高は10㎜低くしている。モーターの最大トルクは軽自動車のターボエンジンの約2倍にあたる195Nmを誇るが、最高出力は自主規制の47kW(64PS)に抑えられている。車両重量はデイズに比べて約200㎏重くなるが、動力性能に余裕があるのはスペックからもわかるだろう。実際にサクラの加速は頼もしい限りだ。勾配のきつい登り坂でもアクセルペダルを軽く踏み込むだけでグイグイと駆け上がっていく。エンジン車だったらかなり騒々しくなるだろうが、当然のことながら静かでBEVの恩恵を感じられる。
乗降性


しかも、力強いのにがさつなところはなく、あくまでスムーズなのが素晴らしい。さすがはBEVのパイオニアである日産でモーターの制御が優れているのだ。発進時のトルクの立ち上がりが穏やかでスムーズに動き出し、それでいて頼もしい力感があるという優れたドライバビリティの持ち主なのだ。いわゆるワンペダルドライブのeペダルも採用されている。スイッチオンにすると回生ブレーキの強度が高まり、アクセルペダルの戻し具合で減速を司り、ほとんどの場面でブレーキペダルに触れることなく運転できる。回生側も唐突に減速が立ち上がるのではなくスムーズだ。
インストルメントパネル

車両重量が重くはなっているが、床下中央にバッテリーが敷き詰められているゆえ低重心かつ前後重量バランスに優れるのでシャシー性能は高まっている。高速道路でも背の高さを感じさせずドシッと安定。コーナーでは軽トールワゴンとは思えないほどのハンドリング性能をみせる。重量増に合わせてサスペンション周辺の剛性強化や適正化を施しているだけあって、乗り心地も抜群に良い。大きな突起を乗り越えても入力の角が丸められた印象でしっとりとしている。大袈裟に言えば高級セダンのようなテイストさえあるのだ。
居住性


一充電走行距離は180㎞(WLTCモード)と短め。ヒーターを使う冬場などは100㎞強程度と考えておいた方がいいだろう。高速道路を使ったロングドライブには向かないのだが、日常の買い物や通勤をメインとするのなら問題ないだろう。街中や郊外路の平均速度はおおむね20〜30㎞/hなので、少なくとも3〜5時間は走れるので十分だ。それでいて自宅充電できればガソリンスタンドに行く手間がなくなる。特に地方では向いているだろう。
うれしい装備





月間販売台数 1807台(24年7月~12月平均値)
現行型発表 22年5月(一部仕様向上 24年5月)
一充電走行距離※WLTCモード電費 180km

ラゲッジルーム


車両価格は259万9300円〜308万22000円と高価だが、補助金を受ければエンジン車とさほど変わらない。質感の高い走りを考慮すれば十分に納得のいく範囲だ。


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