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今日は何の日?■パジェロ派生の街乗り重視のチャレンジャー
1996(平成8)年7月2日、三菱自動車の大ヒットオフローダー「パジェロ」の弟分であるシティオフローダー「チャレンジャー」が発売された。チャレンジャーは、2代目パジェロ譲りのオフロード性能を継承しつつ、街乗りでも扱いやすいスタイリッシュなオフローダーである。

チャレンジャーのベースは隆盛を極めた2代目パジェロ

1980年代~1990年代のRVブームの立役者となった「パジェロ」は、1982年に誕生した。それまでの武骨なイメージの本格オフロード4WDとは異なる、乗用車のような快適性や安全性を合わせ持つパジェロは、一躍人気モデルとなった。

そして1991年にモデルチェンジした2代目パジェロのパワートレインは、最高出力155psの3.0L V6 SOHC、105psの2.5L直4 SOHC IC(インタークーラー)ターボディーゼルの2種エンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は新開発のスーパーセレクト4WDが搭載された。スーパーセレクト4WDは、一般路では後輪駆動、悪路ではセンターデフを介したフルタイム4WD、さらにセンターデフロックによる前後輪直結4WDが選択できる。

パジェロ人気を決定的にしたのは、パリダカでの大活躍である。パジェロは初代誕生の翌年、1983年からオフロード性能の高さをアピールするため、パリ・ダカールラリー(通称、パリダカ)に参戦した。

2代目パジェロが登場した1990年代、パジェロのパリダカでの活躍ぶりをNHKが連日特番で放映したため、パリダカブームに火がつき、2代目パジェロの人気は一気にヒートアップし、日本のみならず世界の舞台で三菱パジェロは輝きを放ったのだ。
本格4WDが自慢のシティオフローダーのチャレンジャー

パジェロの成功でRVの強化を目指していた三菱は、1996年7月のこの日、2代目パジェロのラダーフレーム構造のシャシーを流用した、パジェロの弟分と言える「チャレンジャー」を発売した。チャレンジャーは、パジェロ譲りの本格的なオフロード4WDとしての性能を持ちながら、より乗用車的で都会的なイメージを持ったシティオフローダーだった。


パジェロロングのラダーフレームや足回り、駆動系をほぼそのまま流用し、3列シートを外して車高をパジェロより140mm下げた1730mmとし、乗員5名が広々とくつろげる室内空間が自慢でもあった。また、4WD車に定番であるリアゲートのスペアタイヤはなく、リアをスッキリさせた点もパジェロとは大きくイメージが異なる。

パワートレインは、パジェロと共通の最高出力185psの3.0L V6 SOHC、125psの2.8L直4 SOHC ICターボディーゼル、105psの2.5L直4 SOHC ICターボディーゼルの3種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ、駆動方式はスーパーセレクト4WDが踏襲された。

車両価格は、4AT仕様の標準グレードで266.4万円(2.5Lディーゼル)/272.8万円(2.8Lディーゼル)/269.4万円(3.0Lガソリン)に設定。当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約314万円/322万円/318万円に相当する。



チャレンジャーは、日本ではパジェロ人気に埋もれて目立たない存在だったが、約5年で生産台数62万台を超える実績を残して、2001年6月に国内販売を終了した。



パジェロは消えるも海外で人気を継続しているチャレンジャー
現在、国内では本格オフローダーよりも都会的な雰囲気を持つクロスオーバーSUVが人気を集めているが、海外では相変わらず本格オフローダーの持つ高い悪路走破性が必要な地域も多く、精悍で無骨なスタイルも人気がある。そういう事情もあり、国内販売を終了したチャレンジャーだったが、海外向けはパジェロスポーツもしくはモンテロスポーツなどを名乗って、海外専用車として継続生産されて人気を獲得している。

2008年には、モスクワモーターショーで2代目パジェロスポーツを発表。3.0Lと3.5LのV6ガソリンエンジン、2.5Lと3.2Lのディーゼルターボが用意され、さらに仕向け地の拡大を図るために2WDが設定されたのが注目された。
さらに2015年には現行型となる3代目が登場。三菱が強いタイで発表されて大きな話題を呼んだ。新たなパジェロスポーツは、アウトランダーのようなスタイリッシュなデザインを取り入れ、SUVテイストな雰囲気に大きく変貌したのだ。
また、2025年のバンコクモーターショーでさらに大きく迫力を増した新型パジェロスポーツが披露されて注目を集めた。2025年秋には発売予定だが、相変わらず日本投入の要望が強い。

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2012年にパジェロの生産が終了したときに、それならパジェロスポーツを日本に投入してほしいという声が高まった。国内投入するためには、燃費規制を考慮してPHEV化は必須だろうが、例え人気があっても数が期待できないクルマだけに、国内投入の決断は難しいところだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
