外国人ドライバーの制度見直し 外免切替と国際免許の違いとは
2025年7月、警察庁は運転免許の「外免切替」制度に関する道路交通法施行規則の改正案を公表した。今回の改正案では、外国の運転免許証を日本の免許に切り替える際、原則として住民票の提出を求めることが盛り込まれている。
これにより、日本に短期間滞在する外国人観光客は、外免切替の手続きをおこなうことができなくなる見通しだ。えなお、この制度の見直しは同年10月からの施行が予定されている。
そもそも、外国人が日本国内でクルマを運転する手段としては、主に3つの方法がある。その方法とは、日本の運転免許証を取得する「国内免許取得」、海外の免許証を日本のものに切り替える「外免切替」、そして国際免許証を使用する「国際免許証の提示」である。
このうち、外免切替と国際免許証の使用は、いずれも海外で取得した免許をもとに日本国内での運転を認める制度だ。
しかし、制度の内容や要件には大きな違いがある。まず、外免切替は海外で運転免許を取得した者が、一定の条件を満たせば日本の運転免許証への切替をおこなえるという制度だ。この際、免許証の写しや運転経歴証明書、日本に滞在している証明などが必要となる。
一方、国際免許証はジュネーブ条約加盟国で発行された運転免許証にもとづいて交付される書類だ。これは、日本に短期滞在する者が、免許証本体と国際免許証を併せて所持することで、日本国内で運転することが可能になる。
ただし、国際免許証による運転は入国から1年以内、かつ免許証の有効期限内に限られている。また、滞在期間が長期に及ぶ場合は、国際免許証による運転資格が失効するため、外免切替や日本の免許取得が必要だ。
これに対し、外免切替は日本に住民登録のある者を対象とし、切替後は日本の免許証として正式に認められる。つまり、短期滞在者には国際免許証、長期滞在者には外免切替というように、滞在形態や期間に応じて制度の使い分けが必要というわけだ。
制度の悪用は国会でも問題視されている

そして2025年3月、衆議院の質疑において外免切替制度の課題が取り上げられた。質疑では、参政党所属の吉川里奈議員が、「外免切替」制度に関する解釈や、運用上の問題点について政府側に問いただす場面が見られた。これについて政府は、「外国人が日本の免許を取得する際の『知識確認(筆記試験など)』には、改善の余地がある」と話している。
また、同じく国際免許証の運用についても質疑がなされ、「入国後1年以内であれば運転可能」という基準を悪用して何度も出入国を繰り返すことで、実質的に長期間にわたり日本で運転する事例も指摘されている。この指摘のように、外免切替と国際免許証いずれの制度も、制度の抜け穴を放置すれば交通安全上のリスクにもつながりかねない。
しかし、外免切替制度が改正されることで、これまで指摘されてきた制度の抜け穴を利用した不適切な取得や、日本の交通ルールに不慣れなまま運転するケースの抑止につながる可能性がある。とくに、出入国を繰り返して実質的に長期間運転する行為などについては、制度改正によって一定の歯止めがかかることが期待されているようだ。
この制度改正が実際にどの程度の効果をもたらすのか、今後も引き続き注視する必要があるだろう。



