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今日は何の日?■北米仕様インフィニティM(2代目フーガ)を発表
2009(平成21)年8月14日、日産自動車は米国カリフォルニア州で開催された“ペブルビーチ・コンクール・デレガンス”において新型「インフィニティMシリーズ」を発表した。同年11月にデビューした2代目「フーガ」の北米仕様で、北米には翌2010年3月に販売された。

インフィニティMシリーズとフーガ
インフィニティMシリーズは、日産の海外向け高級ブランドであるインフィニティの高級セダンである。
初代インフィニティMは、1990年にインフィニティQ45とともにインフィニティ設立最初のモデルであり、日本の「レパード」の兄弟車として「インフィニティM30」を名乗った。
2代目は、2003年にデビューした「インフィニティM45」で、「セドリック/グロリア(Y34型)」をベースに「シーマ」用の4.5L V8 DOHCエンジンが搭載された。

2005年には、日本の初代「フーガ(Y50型)」をベースにした「インフィニティM35/M45」がデビューした。セドリック/グロリアの後継となる初代フーガは、世界のプレミアムセダンと肩を並べる走行性能を持つスポーツセダンとして、優美かつ躍動感のあるスタイルで日本では前年の2004年にデビューした。
低く構えたフロントマスクからロングノーズ、リアエンドと連続する伸びやかでボリューム感の堂々としたスタイリングが、フラッグシップらしい高級感をアピール。また、長いホイールベースによって、広い室内スペースを実現しながらもシャープでスポーティな印象を与えた。
エンジンは、最高出力280psを発揮する3.5L V6 DOHCと335psの4.5L V8 DOHCエンジンの2種類で、いずれもマニュアルシフトモード付きの5速ATが組み合わされ、M35にはFRに加え4WDも設定された。
4代目インフィニティM(2代目フーガ)を米国で発表
そして2009年8月のこの日、米国カリフォルニア州で開催されたペブルビーチ・コンクール・デレガンスにおいて新型インフィニティM(2代目フーガ)が発表され、北米では「インフィニティM37/M56」の2種モデルが翌2010年3月から発売された。

M37には、最高出力330ps/最大トルク37.3kgmを発揮する3.7L V6 DOHCを搭載、M56には新開発の420ps/57.7kgmの5.6L V8 DOHC直噴VVELエンジンを搭載。トランスミッションは、マニュアルシフトモード付きの7速ATが組み合わされ、駆動方式にはFRと4WDが用意された。

先代より僅かながら全長と全幅を拡大、全高を低くロングノーズ化することによって安定感のあるFRらしいフォルムに変貌。また、足回りのダブルウィッシュボーン(前)/マルチリンク(後)に改良を加えて、先代にも増して高級感のある乗り心地によって、フラッグシップらしい高級セダンとなった。
なおインフィニティMは、2014年以降にインフィニティの新ネーミング戦略によって、車名が「インフィニティQ70」へ変更された。ただし、Q70は2019年に販売を終了した。
日本では先行して2代目フーガ(Y51型)としてデビュー
インフィニティMシリーズのベースとなった2代目フーガは、日本では北米より早く、2009年11月に発売された。

エンジンラインナップはインフィニティMと異なり、最高出力225p/26.3kgmの2.5L V6 DOHC(VQ25HR)と333ps/37.0kgmの3.5L V6 DOHC(VQ37VHR)エンジンの2種が用意された。トランスミッションが5速ATから7速ATへ変更されたことで、燃費は先代から10%向上した。

その他にも、“コーナリングスタビリティーアシスト機能”など、安全かつ爽快な走りを実現する走行安定化技術や先進的な運転支援機能をはじめとした多彩な安全技術を積極的に採用。車両価格は、標準仕様の2.5Lエンジン搭載車が399万円、3.7Lエンジン搭載車が457.8万円に設定された。さらに、2010年にはFR用パラレルハイブリッドモデルの追加などで進化を続けたが、販売は苦しみフーガも2022年に生産を終了した。


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日本は“セダン冬の時代“、北米もインフィニティQ70(旧M)が2019年、クーペのQ60が2022年、そしてQ50が2025年にも廃止の方向という。これでインフィニティ・ブランドのすべてがSUVモデルとなった。世界的にもセダンが減少し、クロスオーバーSUVの大きな波が来ているのだ。
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