タイ王国を中心に東南アジアを巡るクロスカントリーラリーとして開催されてきた「アジアクロスカントリーラリー」。国をまたいで行なわれるまさにクロスカントリーラリーだ。今大会はカンボジアへの走行ルートが設定されていたが、諸般の事情で越境を断念。タイ国内だけでの開催となり、さらに国境付近へのルートもキャンセルされるなど、変更を強いられているが、それでも記念大会らしく、総走行距離は3000kmを超える壮大なものとなっている。
8日間の競技日程が設定されたAXCR2025の最終日一日前、このラリー終盤の山場となるこのLeg7の走行ルートはさらに南下し、スタート地点であったパタヤに戻るルート。SS(スシャルステージ)手前のリエゾン区間となるRS(ロードセクション)59.13km、プランテーションの中を進むコースが中心のSSは164.90km、後半のRSが178.12kmとなり、この日の総移動距離は402.15km。SSを終えてからの移動が長いのが地味に堪えるルートでもある。

競技4日目(Leg4)に続き6日目(Leg 6)も休息日となったため、若干リズムが乱れ、体調を崩してデイリタイアを喫する選手いた。そしてこの日は前日の天気予報では降水確率90%以上となっており、ぬかるんだマディな路面との戦いを強いられるものと参戦各チームが心してかかったのだろうが、前夜から早朝にかけての激しい雷雨が上がってしまうと、ほぼ降雨ナシ。さらに乾きやすいこの地域特有の路面の影響もあって、マディな部分がしぶとく残っているところは一部あるものの、ほぼドライでの走行となった。
日々前日のタイム順にスタートをするのだが、最終日は総合順位でのスタートとなるため、僅差での争いをしているチームではポジションをあげてひとつでも前で最終日のスタートを切れるようこの日を終えたい。そのため、マシンをいたわりつつも、これまで以上によりアグレッシブな走行が繰り広げられた。
この日のトップタイムをたたき出したのは、昨年の覇者で、現在暫定総合2位の「No.101 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND(Mana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組)」のトヨタ・ハイラックス(2時間23分18秒)。暫定トップの三菱のエース「No.112 MITSUBISHI RALLIART(Chayapon Yotha/Peerapong Sombutwong組)」の三菱トライトンはこの日2番時計(2時間27分03秒)を記録。マナとしては17分あった差を詰めた形になるが、まだその差は10分あり、チャヤポン有利の状態で最終日を迎えることとなった。

3番手には、マナのチームメイトである「No.113 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND」のNatthaphon Angritthanon/Thanyaphat Meenil組(2時間28分26秒)が入った。Leg5 終わりで、マナに7分遅れで暫定総合3番手にいた、いすゞD-MAXの「No.110 ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUIMOLY RACING TEAM(Ditsapong Maneein/Atikij Srimongkhol組)は、この日21位(3時間00分25秒)と完全にトップ争いから脱落。代わって暫定総合3番手に上がったのはフォード・ラプターの「No.142 Feeliq Innovation Motorsport(Bailey Cole/Sinoppong Trairat組)となった。

日本人勢では4番手に 「No.104 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA」の塙郁夫/染宮弘和組(2時間32分07秒)が入った。ルーフはゆがんだままだが、前日に続き好タイムをマーク。暫定総合6番手だった三菱トライトンの「No.105 Team MITSUBISHI RALLIART(田口勝彦/保井隆宏組)」は、この日6番手(2時間38分27秒)につけ、暫定順位を一つポジションアップ。9番手には、3日目にホーシングが折れて車両の救出自体に苦慮したものの見事復活した「No.119 Kyushudanji team Japan」の森川金也/内田雅彦組(トヨタ・ランドクルーザー/2時間49分07秒)が入った。


暫定の総合順位では、5番手に田口組(16時間58分28秒)、9番手に「No.111 CUSCO RACING」の柳澤宏至/加勢直毅組(17時間29分24秒)、12番手にトヨタ・フォーチュナーの青木拓磨組(No. 107 GEOLANDAR takuma-gp FORTUNER/17時間47分29秒)が入っている。

AXCR2025も8月16日(土)に、ついに最終日となる。短めのSSが設定されているが、全車がラストスパートをかけてくる。ここでも何かあれば大きく順位は変動するだけに、各選手の力走に期待したい。


