アジアクロスカントリーラリー(AXCR)は、タイ王国を中心に、これまでマレーシア、シンガポール共和国、中華人民共和国(雲南省)、ラオス人民民主共和国、ベトナム社会主義共和国、カンボジア王国、ミャンマー連邦共和国といった東南アジア各国で開催されてきた。毎年コース設定が異なり通過国も変わるのだが、今大会はタイのみでの開催となった。
そのスケジュールは、2025年8月8日(金)にタイ・パタヤでセレモニアルスタート、タイ国内をカオヤイまで北上して、再びパタヤへ戻って8月16日(土)にゴールを迎えることになっていた。総走行距離3000kmを超える壮大なものだ。そのうち、競技は全8日間が予定されていたが、緊張が高まっているカンボジアとの国境近くに設定されていたコースをキャンセルしたことで、2日間競技のない日が発生し、実質6日間での競技となった。ただ、ラリーレイドであるため、競技のない休息日であっても、チームによってはマシンの修復作業に時間を費やすことになり、そのチーム力も試されることとなる。
AXCRでは2輪と4輪が走行をする。クラス区分としては2輪部門の「MOTO(排気量によってM-1、M-2、M-3の区分けがなされる)」、側車付き車両の「SIDECAR(区分なし)」、そして4輪部門の「AUTO」とあり、「AUTO」では、改造クロスカントリーラリー車両(グループT1)、量産クロスカントリーラリー車両(グループT2)、量産クロスカントリーラリー(ホモロゲなし)車両(グループT2A)、進化クロスカントリーラリー車両(グループT3)、2トン以下小型トラック(グループT4A)の車両分けがなされ、さらにガソリン、ディーゼル、EVなどの区分分けもなされる。


このAXCR30周年記念大会の最終日となる2025年8月16日(土)に設定されているのは、パタヤの東側を周るループのコースで、SS(スペシャルステージ)区間は69.55km、総移動距離で見ても327.83kmと非常に短い区間での戦いとなる。
このショートステージでベストタイム38分13秒を出したのが、トヨタ・ハイラックスの「No.101 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND(Mana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組/16時間15分12秒)」であった。しかし、この激しい追い上げに屈することなく40分34秒でこのステージを走り切り、総合優勝を決めたのが三菱トライトンの「No.112 MITSUBISHI RALLIART(Chayapon Yotha/Peerapong Sombutwong組/16時間23分03秒)」であった。チャヤポンにとって38回目の誕生日であるこの日、昨年のエンジントラブルに見舞われた厳しい誕生日とは異なり、バースデーウィンといううれしい一日となった。3位にはフォード・ラプターの「No.142 Feeliq Innovation Motorsport(Bailey Cole/Sinoppong Trairat組/17時間08分29秒)」が入っている。T1-D(改造クロスカントリーラリー車両ディーゼル)クラスの車両が上位を占める中で、このラプターはT2A-D(量産クロスカントリー車両ディーゼル)クラス優勝も果たすこととなった。

チームアワードは、Team MITSUBISHI RALLIART(No.105/No.112/No.118)が1位となり、2位には TOYOTA GAZOO RACING THAILAND(No.101/No.113/No.133)。そして3位に ISUZU SUPHAN YOKOHAMA LIQUI MOLY RACING TEAM(No.102/No.103/No.110)が入った。


日本人最上位は、総合5位の田口勝彦/保井隆宏組(No.105 Team MITSUBISHI RALLIART/三菱トライトン/T1-D/17時間37分56秒)。さらに11位に柳澤宏至/加勢直毅組(No.111 CUSCO RACING/三菱トライトン/T1-D/18時間29分05秒)、そして13位に、青木拓磨/Ittipon Simaraks/Songwut Danphiphattrankoon組(No.107 GEOLANDAR takuma-gp FORTUNER/トヨタ・フォーチュナー/T2A-D/18時間41分39秒)という結果となった。



