「スーパーバイズド」はドライバーの常時監視を前提に、全方位カメラシステムとニューラルネットワークを備え、フルセルフドライビングを可能に

テスラは、フルセルフドライビング「スーパーバイズド」の技術テスト走行および学習を、日本国内で本格的にスタート。この取り組みは、テスラの先進運転支援システムを世界中で展開し、道路交通の安全性と利便性を向上させるための重要な一歩だ。

フルセルフドライビング「スーパーバイズド」とは、その名のとおりスーパーバイズド(監視義務付き)運転支援システムであり、ドライバーの常時監視を前提に、以下の機能を備えている。

●全方位カメラシステム
車両に搭載された8つのカメラによる360度視野と、Tesla Visionによるリアルタイム環境認識を行う。これらは、一般的な自動車で採用されているレーダーや超音波センサー、高精度地図は使用せずにカメラのみで動作している。
●ニューラルネットワーク
FSD v13では、エンドツーエンドの深層学習アーキテクチャを採用。従来のルールベースアルゴリズムを廃止し、全世界600万台以上のテスラ車両から収集した10億マイル以上の走行データをもとに、複雑な運転シナリオを学習中だ。

テスト車両は、現在販売中の車両と同様の最新AIハードウェア(AI 4)、およびカメラベースのTesla Visionを搭載した「モデル3」。テスラの「We, Robot」イベント(2024年10月10日開催)で披露されたFSD v13の技術を活用し、都市部の複雑な道路環境や高速道路での性能を検証する。主な検証内容は以下のとおり。

●駐車場から駐車場へ:駐車状態からの発進、走行、目的地での自動駐車
●市街地走行:信号や標識の認識、車線変更、交差点通過、歩行者や自転車への対応
●ASS(Actually Smart Summon):車両をスマートフォンアプリ経由で呼び寄せる機能。GPSとカメラを活用し、最大約85mの範囲で動作
●安全性機能:緊急ブレーキ、衝突警告、車線逸脱防止を統合。ドライバーの注意力は、ステアリングホイールへのトルクまたは車内カメラによる顔認識で監視

米国の統計によると、テスラの運転支援システムは通常の車より9.5倍安全だという。米国では一般的なクルマの場合、平均113万km毎に1件の衝突事故が発生している。テスラのオートパイロット機能をオンにした車両は平均1077万km毎に1件の衝突事故しか発生していない。すべての事故を防ぐことができるクルマはまだ存在しないが、テスラは事故をできる限り少なくできるよう日々努力を重ねている。

テスラの安全性は、実際に街を走るリアルデータをもとにしたAI学習およびソフトウェアアップデートによって、街を走るすべてのテスラ車両の安全性が日々向上している。

2021年には「モデル3」と「モデルY」からレーダーを取り除き、Tesla Vision(カメラベースの周辺認識)への移行を行い、2022年には、超音波センサーを廃止した。現在、世界中でTesla Visionに基づいた車両でオートパイロットシステムを実現している。

Tesla Visionをリリースして以来、機能面と安全性の両面で段階的な改善を続け、米国および欧州におけるアクティブセーフティ評価において、レーダーや超音波センサーを装備した車両と比較して、同等またはそれ以上を記録。歩行者用自動緊急ブレーキの介入なども性能が向上している。

米テキサス州オースティンに位置するテスラの最新工場Giga Texasでは、AIトレーニング用の計算能力を拡大している。約1万6000台のH200 GPUを追加導入して、Cortexの総計算能力はH100相当で6万7000台分に達した。