令和の今、Y31シーマで最新VIPを再構築

VG30DETにハイフロータービンを合わせ320psを実現!

1980年代後半から1990年初頭、バブル景気に湧く日本。そんな時代に、高級セダンであるセドリック/グロリアを超える、さらなる上級仕様車が求められ、1988年にデビューした初代シーマ。日産は法人・ハイヤー向けとして最高級車プレジデントを有していたが、シーマは一般オーナー向けの最上級モデルとして誕生し、モーター店から「セドリックシーマ」、プリンス店から「グロリアシーマ」として販売された。

その人気は凄まじく、発売1年目で3万6400台、4年間で初代の販売台数は12万9000台に達した。上級グレードの新車価格は500万円を超えていたが、そんな高額商品が飛ぶように売れた時代の象徴として「シーマ現象」なる言葉まで生まれ、社会現象を引き起こした。その後、1991年に2代目のY32、1996年に3代目のY33と進化。Y31〜33は、当時流行したVIPカーブームもあり、カスタムベースとしても人気を博した。

そして令和の今、初代Y31シーマをベースに最新VIPスタイルを作り上げたのが東雲太郎さん。「若いときからVIPカーに乗ってきて、Y32とY33は愛車としてカスタムしたことがありましたが、Y31はなかったんですよね。少しVIPを離れている時期もありましたが、子供の頃に高嶺の花として憧れた車両でもあり、日本一のY31を目指しました」と、シーマ愛は相当なもの。

ベース車は、平成2年式の後期型グロリアシーマ。こだわったのが、サンルーフとデジパネの装備。特にデジパネは後期のみのメーカーオプションだったので、探すのに苦労したそうだ。カスタムについては全幅の信頼を寄せるアヴァンツァーレに依頼し、なんと3年の歳月をかけて完成にこぎつけたという。

カスタムのテーマは「平成と令和の融合」。エアロは、関西で伝説だったVIPカーチーム「VIPカンパニー」にも強いリスペクトがあり、そのスタイルを踏襲。当時物のインパルエアロで統一し、シンプルながら堂々とした佇まいを演出している。

一方で足まわりは、純正がヘタって使いものにならなかったため、アヴァンツァーレで新規にエアサスを製作。そこにBBS LMの19インチをセットし、令和流のシャコタン&ツライチにまとめあげている。

そのほか、トランク内にはオーディオ&エアサスのタンクをセンスよく配置し、魅せるインストールを実践している点も注目ポイントのひとつ。インテリアはヤレたレザーの張替えなどを行いつつ、やりすぎることなく当時の雰囲気を残しているところも好印象だ。

そして、エンジンルームに収まるVG30DETユニットには、ハイフロータービンやワンオフインタークーラーを装着し、HKS・F-CON iSでセットアップ。最高出力は320psまでパワーアップ。そのパワーを受け止めるために、フロント6ポット、リヤ4ポットのブレーキシステムも投入するなど抜かりなし。

フロントバンパーの隙間から覗く前置きインタークーラー。Y31シーマ用の前置きインタークーラーの設定はなく、トラスト製のコアをベースにアヴァンツァーレでワンオフ製作した逸品だ。

リヤシートは純正のままで、フロントのシートは純正と同じオフブラウンのレザーで張替え。ステアリングは、70本限定で販売された貴重なイタルボランテのアイテムで、シート同様に純正と同じレザーで張り替えている。インテリアに関しては純正然とした雰囲気だが、ハードトップのボディは剛性の低さが気になるため、今後は目立たないようにロールケージを組み込もうか悩み中とのこと。

リヤトレーには、キッカーのスピーカー&ウーファーをインストール。また、ガラスやバンパーなどには、伝説的なVIPチーム「Specialist」のステッカーが貼られ、当時の雰囲気を醸し出している。ちなみに東雲太郎さんは、Specialistの4代目リーダーとして現在チームを牽引している。

ハイソカーを代表するY31シーマをベースに、令和の技術を投入しつつ、古き良き平成感も失うことなくトータルコーディネイトすることで、魅せてよし、走ってよし、聴かせてよし、さらに快適な走りまで実現した、まさに令和の最新VIPスタイルと言えるだろう。

ちなみに、ブランクを経てVIPの世界に戻ってきた東雲太郎さんだが、じつはその情熱は燃え上がるばかりで、さらにパフォーマンスの高い20セルシオも製作中という話。外観は当時流行ったブリスターフェンダー仕様のVIPカースタイルで、中身はなんと3.1L仕様の2JZエンジンにTD07タービンで700ps、さらに5速MTという、かなりOPT好みなスペック。セルシオにチューンドスープラを詰め込んだようなマシンを想像すると、今からワクワクが止まらない。そんな東雲太郎さんのクルマ遊びの近況は、YouTubeチャンネル「東雲家の日常」でも公開していくそうなので、乞うご期待!

⚫︎取材協力:アヴァンツァーレ 東京都武蔵村山市中原1-4-2 TEL:042-531-1917

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