道路運用は次の時代へ…?

ピーコック
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廃止が進むリバーシブルレーンは、元々便利な交通管理システムとして利用されていた。

都市部の道路でかつて見られたリバーシブルレーンが、いま各地で廃止されつつある。交通量の偏りに応じて車線の方向を切り替えるという仕組みは、一時的に渋滞を和らげる方法として導入例が多かった。

しかし近年は運用の難しさや効果の限界が指摘され、道路政策の転換点を示す存在になっている。

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元々は便利な交通管理システムとして利用されていた。

そもそも、リバーシブルレーンとは、時間帯や交通状況に応じて車線の進行方向を変える制度である。朝の通勤時間帯に都心へ向かう車線を増やし、夕方は逆に郊外へ向かう車線を確保する、といった使い方が代表的だ。都市高速道路や国道など限られた区間で設けられ、一定の効果を上げてきた歴史がある。

導入の背景には、急速に増えたクルマの利用に対して、限られた道路空間を効率的に活用したいという事情があった。新たな車線を建設するには莫大な費用と用地確保が必要になるため、既存インフラを柔軟に運用する工夫として注目されたのである。

全国的に廃止や縮小の方向にあるリバーシブルレーン。

現在では、このリバーシブルレーンが全国的に廃止や縮小の方向にある。理由のひとつは交通量の変動が小さくなったことだ。かつては通勤方向と帰宅方向で極端に偏るパターンが見られたが、分散勤務や都市構造の変化によって、その差が縮まってきた。

また、安全確保の難しさも大きな要因である。時間帯によって進行方向が変わる仕組みは、利用者の混乱を招くことがある。標識や表示を見落とせば逆走につながり、事故リスクが高まることは避けられない。このため、運用のコストや安全性への懸念が、導入当初のメリットを上回るようになった。

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現在はほとんどが廃止の方向に向かっているリバーシブルレーン。

中部地方整備局の資料でも「利用実態が減少し、安全面からの課題もある」と明記されている。恒常的な渋滞解消策としての効果は薄れつつあり、制度そのものが時代に合わなくなったといえる。

単なる道路容量の拡大ではなく、交通需要の分散や公共交通の強化といった総合的な取り組みが求められているというわけだ。この指摘は、リバーシブルレーンの縮小が全国的な傾向であることを裏付けている。

現在のところ、新規にリバーシブルレーンを導入する事例は、現在ほとんど存在していない。既存区間も順次整理され、より恒久的な道路整備や交通管理システムへ置き換えられる方向にある。

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より効率的な交通管理システムに変更されつつある。

交通流の変化に合わせて柔軟に対応するという考え方自体は有効だが、物理的に進行方向を変える手法は過渡期の仕組みにとどまったといえる。今後はICTを活用した渋滞予測や、信号制御システムの高度化などが主役となっていくだろう。

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リバーシブルレーンは、高度経済成長期から続く道路運用の知恵であったが、社会環境の変化によってその役割を終えつつあるのだ。リバーシブルレーンの減少は、道路政策のひとつの転換点を象徴している。

限られた道路をどう使うかという課題は今も続いており、技術や制度の進化とともに新しい解決策が模索されているのである。