
新車の生産は終了してしまったが、まだ今なら市中在庫で新車を見つけることができるスーパーカブ50。スーパーカブ110はキャストホイール+ディスクブレーキを装備して魅力だが、「カブならやっぱりスポークホイールでしょ!」という声は根強い。スポークホイールのカブを新車で探すなら50ccモデルしかないわけで、否が応でも結論が出てしまう。また4輪免許や原付免許しかない場合も、やはりカブ50を選ぶことになる。

スーパーカブ50に乗ると、やはり力不足感は否めない。トコトコとのんびり走るには最高だが、長距離を走ったりワインディングに差し掛かるともう少しパワーが欲しくなる。そう感じたらどうすべきか考えてみよう。今回はユーチューブで無料動画を配信しているモトチャンプTVの中から「スーパーカブ50を快速に! SP武川のオススメメニューを大公開!」という動画に注目してみた。内容をダイジェストにまとめたので参考にしてほしい。

まずチューニングの第一歩としてはマフラー交換を挙げたい。排気音が変わることで気分的にも速くなった気がするし、何より純正とは異なる特性が得られる。SP武川のP-SHOOTERマフラーなら交換するだけで0.4ps向上するから効果的だ。

マフラーを交換するなら同時に考えたいのがエンジン側。いきなりエンジンチューニングは敷居が高いので、カムシャフトだけ交換してはいかがだろう。SP武川のスポーツカムシャフトは変更することで高回転域での出力が向上するので、抜けの良いマフラーとセットで交換することでノーマルとは別物のエンジンフィーリングが手に入るのだ。

マフラーとカムシャフトの交換をさらに効果的にしてくれるのがSP武川のFIコン2と呼ばれるインジェクションコントローラーだ。ノーマルコンピューターに追加することで燃調を変更することができる。するとマフラー+ハイカム交換に合わせたセッティングが可能になり、その効果を倍増してくれるのだ。

このFIコン2はセッティング用として初めからメニューが揃っている。中央にある丸いダイヤルを回すことでエンジンの仕様に合わせた燃調としてくれるのだ。だからマフラー+ハイカム用のセッティングももちろんあるし、将来的にボアアップした場合にも対応できる。

それでも「よりパワーを!」という場合には、最終的にボアアップするのがオススメ。原付2種登録になるため小型以上の免許が必要になるが制限速度30km/h、二段階右折などが必要なくなる恩恵は大きい。排気量が大きくなるということは当然パワーアップにつながり、50ccとは別物の乗り物になってくれる。SP武川では各種ボアアップキットを用意していて、すでにハイカムとFIコン2を装着済みならシリンダーとピストンだけのキットからハイカムも付属するキット、さらにはFIコン2とフロントスプロケットまで含まれるハイパーSステージボアアップキットまでラインナップしている。

エンジンをボアアップすると、どうしても熱量が増える。油温が上がり過ぎるとエンジンオイルが劣化することになるため、早めのオイル交換が必須だ。自分で頻繁にオイル交換するなら構わないが自分で交換作業をしない人や交換サイクルが長い場合にはオイルクーラーを増設するのがオススメ。油温を効率的に下げてくれるのでエンジンオイルの劣化が進みにくくなるから、一般的な交換サイクルで問題なくなるのだ。

ボアアップして原付2種登録になると、どうしても速度域が高くなる。すると足回りに物足りなさを感じるケースがあることだろう。そこで手軽に交換ができるリヤショックを強化タイプにするのがオススメ。スーパーカブ50(AA09)用ならスプリング色がメッキ、イエロー、レッド、ブラックと4種類用意されているのでボディカラーとの相性で選ぶことができる。

パワーアップすると制動性能も問題になる。やはり高速域からのブレーキングは50ccと比べ物にならないほど重要だ。ただディスクブレーキにするのはカブらしさという意味で微妙。そこでテコの原理で純正ドラムブレーキのまま軽いタッチで制動性能を向上させる強化ブレーキアームキットの装着がオススメ。純正ブレーキアームより27mm長いためレバー比が変わり効果が得られるのだ。アルミ製なので軽量化にも貢献する。

ボアアップエンジンの場合、純正に比べて各部への負担が大きくなるのも事実。特にカムチェーンテンショナーがノーマルのままだとプッシュロッド先端のゴムが陥没してプッシュロッドヘッドの破損に繋がりかねない。そこで超超ジェラルミン製でオイル穴を設けてあるスーパーカムチェーンテンショナーに交換すると、トラブルを避けることができる。アーム本体の強度が高いだけでなくプッシュロッドの接地面積が増えるためゴムの陥没や破損を軽減することができるのだ。

では実際に81ccへボアアップされたSP武川のデモ車に試乗してみるとどう感じるのだろう。まず一般道をクルマの流れに合わせて走っているだけでも効果を感じられる。4速までシフトアップしてアップダウンを通過する時などは顕著で、勾配によってはシフトダウンせずにストレスなく走ってくれる。またスロットルをワイドオープンにすると50ccとは別物の加速感が得られる。デモ車にはリヤショックやオイルクーラー、強化ブレーキアームなどが組み込まれているので、心ゆくまでボアアップ効果を味わうことができた。

ボアアップの効果は実は幹線道路などでも大きい。4輪と変わらぬ巡航速度が維持できるし、場合によっては追い越しもストレスなく行える。信号待ちからの発進時に後ろの4輪から煽られるようなこともなくなるはずだ。

パワーアップしたカブに乗っていると、どうしたってツーリングに行きたくなるのが人情。しかも速度域が上がるから50cc以上に長距離が楽しくなるはず。そこで装備したいのはツーリングバッグ。ハンドルなどにマウントするスマホホルダーも便利だが写真のツーリングバッグはスマホ画面をモニターできるし財布を収納することもできる。ツーリング中に立ち寄った先でバッグごと持ち運べるから便利なのだ。どうだろう、スーパーカブ50をボアアップしてみたくなるのではないだろうか。