「快適かつ快速、それでいながら旧車ならではの面白さも秘めたマシンだね」谷口信輝

いや、コレ、すんごく楽しいジャジャ馬。旧車ならではの軽量ボディに750馬力なんて、危ないくらい面白いよ(笑)。

輸出用のスカイライン(R31)やオーストラリアのホールデン社に供給・搭載されていたRB30エンジンにRB26用ヘッドを加工流用。さらに腰下を強化して3.4L化している。

エンジンは、輸出用のRB30ブロックをベースに3.4Lまで排気量を上げて、タービンにはHKSのTO4Zをセット。RB26チューンでは不可能なトルク感を目指したというけど、凄いね。F-CON Vプロでの綿密な制御も相まって、とにかくトルクフル。パワーフィールも強烈だ。しかしこのサンマルZの真骨頂は、ただのフルパワー仕様じゃなくて、ロッキーオート流のトータルチューンで巧みに作られているところ。

コレクタータンクやバッテリーもトランクスペースに設置。室内を覆うロールケージがやる気を感じさせてくれる。
室内の安全タンクはリヤバンパー下から見えるような設置方法が取られていた。

まず、ボディは一度ドンガラにしてからフルレストアを敢行。同時にスポット溶接増しやパイプフレームの追加も行っているらしいんだけど、そのおかげで旧車特有の剛性の低さ+ヤレが確実に改善されている。室内を覆い尽くすロールケージはやりすぎ感もあるけど、それがちゃんと機能しているから納得しちゃうね。

オーバーフェンダーを取り付けた上で、ホイールは深リムの「ボルクレーシングTE37V」をセット。タイヤはネオバ(225/45-17 R255/40-17)という組み合わせだ。
室内にはブレーキバランサーも備える。

サスペンションはアラゴスタベースのロッキーオートオリジナル車高調で、アーム類はピロ化されている。補強されたボディがプラスに作用して、しっかりと足が動いているし、ストリートに最適な乗り心地と路面追従性能を実現していると思う。ブレーキも大型のブレンボで安心感があるよ。サンマルZに17インチっていうのも意外性があって良いね。

クラシックなスタイリングのバケットシートも、このZの雰囲気を旧車然としたものに保つ上で大きな役割を果たしている。

ドライバーズシートから見たコクピット周辺の印象は旧車そのものなんだけど、油圧のパワステとエアコンが装備されているから不思議な感じ。まるでレーシングチューンとストリートチューンがミックスされたような雰囲気って言うのかな。

いわゆるスパルタンな旧車チューンとは一味違う。もちろん、細部まで綺麗にレストアされているのも好印象。旧車って室内が劣化しているケースが多いけど、このくらい綺麗だと、潔癖(!?)な僕としては非常に気持ち良い。

ヘッドライトはHID化してリフレッシュ。嫌味のない近代化チューンとしても有効な手段だ。

細かいところでは、ヘッドライトがHID化されているのも高ポイント。これだけでエクステリアが新しく見えるからね。

ワイドボディに極太のタイヤホイールの組み合わせが只者ではないオーラを醸し出す。

こんな仕様だから、ダラッと乗ると普通のクルマで、アクセルを踏むと凶暴に加速するチューンド。それでいて車重が軽いから意のままに操れる。そしてなぜか、旧車の味はシッカリと残っているからフェアレディZとしての楽しさや満足感が全く失われていない。こういう方向性もアリ…というか、メチャクチャ魅力的だよ。

●問い合わせ:ロッキーオート TEL:0564-66-5488

「S30Zで前後重量配分50:50を実現!」脅威のコーナリング性能を持つSR20VEエンジン仕様に迫る

半世紀を超えて愛され続ける初代フェアレディZを、あえて軽量4気筒のSR20VEへスワップ。NEO VVLが開く4500rpmのハイカム領域から一気に8000rpmまで吹け上がる快感は、往年のL型直6では味わえない官能そのもの。剛性を高めたA-S30をベースに、フロントミッド化で理想的な重量バランスを実現したこのマシンは、S30Zのイメージを覆す“新しい答え”を提示している。

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