80年代ホットハッチの楽しさは未だ一線級!
走りの楽しさを引き出す最新フルコンセッティング!
700kg台の軽量ボディに1.3Lのターボエンジンを搭載した、元祖ホットハッチとも呼ぶべき存在がEP71スターレットだ。“韋駄天”“かっとび”といったキャッチコピーに相応しい走りが楽しめたFFターボはモータースポーツでも活躍し、まさに80年代を代表する軽量マシンの1台となっている。

さて、そんな名作であるEP71を手に入れ、上位互換進化をコンセプトにコツコツとプライベートチューン主体でアップデートしているのが“はっしぃ”さん。EP71と向き合って12年になるそうだが、驚くことに年齢は30歳と89年生まれの愛車よりも若い。
「80年代のライトスポーツに興味を持ったきっかけは、大阪環状の走り屋が描かれていた『ナニワトモアレ』ですね。免許を取得したらワンダーシビックかKPスターレットに乗ろうと考えていましたが、いざクルマを探すと価格が高くて厳しい。どうしようか悩んでいた時に格安で見つけて飛びついたのが、ワンダーとKPをいいとこ取りしたようなEP71スターレットでした(笑)」。
こうして、はっしぃさんのEP71ライフが始まったのだが、9万5千円でネット購入したという車両は車検を取得するだけでも半年掛かりの整備が必要になるほどの劣悪コンデイション。さらに、車検を無事に終えて走らせてもブーストを掛ければインタークーラーが破裂したり…と、数え切れないほどのトラブルを経験しながらコツコツとコンディションアップに取り組んできた。

「お金がない学生時代はEP71に長く乗り続けるための純正パーツ集めに集中していましたが、社会人になってからホイールやブレーキ、足回りといったチューニングやカスタムにも取り組む余裕ができました。中でも拘ってきたのは、4セット目の車高調で理想に仕上がった足回りですね。乗り心地も良く、楽しく操れるように取り組んだ結果、夢工房SPLのアラゴスタで少し硬いけどしなやかな動きになりました」。

なお、ここで注目したいのは、アップデートしたばかりのフルコン制御だ。当初はエンジン本体のチューンと合わせてフルコンの導入を予定していたが、エンジン完成の時期が見えないため、下準備として先行。ブログを読んでチューニングのスタンスに共感していた“インパクト”を訪れて、純正ECUからハルテック・エリート750での制御に切り替えた。

その仕上がりは「2E-TELUってこんなに速いんだ」と、長年EP71と歩んできたオーナーを大いに驚かせるものだった。もちろん、エンジン本体は購入当時のままで、タービンもコンディションアップで置き換えたリビルド品なのでピークパワーは大きく変わらない。

ハルテックが誇るフィードバック制御を活用するため、タービンのエキゾーストハウジングに装着されている純正02センサーは高精度なA/Fセンサーに変更。スタッドボルト緩みやガスケットトラブルも合わせて対処した。

セミシーケンシャル制御となっていた純正インジェクターは、ハルテックに入力を2系統追加してフルシーケンシャル制御にアップデート。きめ細かな燃調セッティングが可能となったことで、走行フィールは滑らかで高レスポンスなものへ進化している。

オン/オフのみの判別となる純正のスロットルポジションセンサーでは加速増量の制御が甘くなるため、ワンオフマウントステーを使ってリニア式にアップデート。純正インマニの熱影響を強く受ける吸気温度センサーも高性能なハイレスポンスタイプに換え、インタークーラーのスロットル側タンクに移設した。


EP71から投入されたスターレットらしいギミックが、純正から備わるブースト切り替えスイッチ。ブースト圧の制御はハルテックの高性能ソレノイドへ置き換えているが、純正スイッチを継続活用してロー0.6キロ、ハイ1キロでセットアップした。

ステアリングやバケットシートでシンプルに仕上げるインテリアだが、80年代のイメージを崩さない52φ追加メーターやディスプレイオーディオで細やかにブラッシュアップ。電動パワステ化も思案中とのこと。

R31用リップスポイラーをベースデザインが崩れないようにダクト外側で幅ツメ加工して装着。インタークーラーに合わせた吸気口に拡大したFRPボンネット、冷却効率に優れる前期グリルなどで80年代の走り屋的な精悍フェイスとした。

憧れていたワンダーやKPの環状スタイルに近づけてくれるのがウイニングスポーツのリヤスポイラー。ガラス越しに見えるリヤスピーカーは当時感が崩れないように、絶版モデルのアルパインを探し出した。

ちなみに、はっしぃさんは今回取材した車両のほかにも、部品取り用の車両や「ターボS スーパーリミテッド」まで所有する、生粋のEP71マニア。
フルコン制御によって愛車が格段に進化した姿を目の当たりにし、現在製作中のチューニングエンジンへの換装に加えて、電スロ化やダイレクトイグニッション化といった構想も膨らんできたという。その影響で、普段使いのベース車を今のEP71から限定モデルの「スーパーリミテッド」へ入れ替えることまで視野に入れていると語ってくれた。
●取材協力:インパクト 京都府久世郡久御山町野村村東91-3 TEL:075-754-7405
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