フェラーリの次世代フラッグシップが登場!

フェラーリ・ジャパンは2025年9月24日、東京・高輪で新型「849テスタロッサ」を発表した。1980年代の象徴的モデル「テスタロッサ」の名を冠したこの最新モデルは、単なるリバイバルではなく、フェラーリが次世代のフラッグシップとして据えるプラグインハイブリッド・スーパースポーツである。

849テスタロッサは、4.0L V型8気筒ツインターボエンジンと3基の電動モーターを組み合わせ、総合出力1050psを発生する。エンジン単体でも830psを誇り、電動アシストと統合することで0-100km/h加速2.3秒未満、最高速度330km/h以上という数値を実現した。都市部では電動のみで約25kmを走行でき、環境性能にも配慮する。

ドアパネルを深く彫り込み空気の流れを最適化

デザインはフェラーリ・スタイリングセンターのフラヴィオ・マンツォーニが率いた。低くワイドなフロントノーズ、シャープなLEDライト、大型サイドインテーク、象徴的なツインテールのリアセクションが特徴で、往年のテスタロッサの意匠を現代的に解釈した。加えて、アクティブリアスポイラーやディフューザーといった最新の空力制御装置を採用し、高速域での安定性と効率を両立させている。

さらに注目すべきは、ドアパネルを深く彫り込んだ造形である。サイド全体を大きくえぐることで、前輪後方で発生する乱流を整流し、リアに設けられた大型インテークへ効率よく導く役割を担う。これによりターボチャージャーやインタークーラーへの冷却風が安定して確保され、同時に車体側面を這う気流がリアディフューザーやウイングに最適化された状態で到達する。単なる造形的演出ではなく、冷却性能と空力効率を融合させた設計であり、往年のテスタロッサが持っていた横フィン付きサイドインテークのモチーフを、現代のエアロダイナミクス技術で再解釈した要素といえる。

制御技術では、新開発の「ABS Evo」や車両挙動を予測する「FIVE(Ferrari Integrated Vehicle Estimator)」が注目点だ。FIVEは車両の動きをリアルタイムで解析し、トラクションや制動を先読みで調整するシステムであり、限界域での安定性を大幅に向上させる。こうした技術により、849テスタロッサはスペック上の速さだけでなく、ドライバーに安心感と一体感を提供する。

デジタルとアナログが融合したドライバーズシート

インテリアはドライバーを中心に設計され、主要な操作系はステアリングに集約。センターコンソールはミニマルに整理され、操作性と視認性を両立している。伝統的なゲート式セレクターを想起させるシフト操作や、エンジンスタートボタンの配置など、フェラーリらしい演出も健在だ。さらに音響にもこだわり、EV走行の静粛性と、V8が目覚めた瞬間のドラマ性を巧みに切り替える。排気音やギアシフト時のサウンドは緻密に調律され、官能的な体験を提供する。

ボディタイプはクーペの「ベルリネッタ」とオープントップの「スパイダー」を用意。スパイダーはリトラクタブルハードトップを備え、開閉時間の短縮や空力性能の維持に配慮されている。開放感とパフォーマンスを兼ね備える点が魅力だ。

国内での販売価格は6000万円超、600万円の追加オプションも

価格は849 テスタロッサが6465万円、849テスタロッサ スパイダーが7027万円。サーキット走行を重視した「アセット・フィオラノ」パッケージも602万(予価)で選択可能で、さらなる軽量化や専用サスペンションが付与される。
849テスタロッサは限定車ではなく、正規ラインナップの頂点に据えられる。従来のフラッグシップであるSF90ストラダーレの後継的役割を担い、電動化時代におけるフェラーリの旗艦として位置づけられるのだ。ブランドの歴史を象徴するネーミングを復活させつつ、最新の電動化技術を取り込み、フェラーリが未来へと進む方向を明確に示したモデルといえる。

日本市場においても、849テスタロッサは高性能スーパーカーの中で極めて大きな注目を集めるだろう。総合出力1000馬力超のスペック、電動走行と内燃エンジンの融合、そして伝説的ネーミングの復活。これらすべてが重なり、フェラーリ849テスタロッサは単なる新型車を超えた存在となる。
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