近年のドゥカティの姿勢と特徴
2025年9月19日、ドゥカティジャパンは東京都渋谷区のイベントホールで、10月4日から日本市場での発売が始まる「XディアベルV4」のプレス発表会を開催した。そしてこのイベントに参加した僕は、近年の同社の勢いや独創性をしみじみ実感することになった。

僕が最初に感心したのは、ドゥカティジャパンのマッツ・リンドストレーム社長が語った、「2025年の当社は10機種以上のニューモデルを投入しています」という言葉。
と言っても、それらの中には派生機種も含まれるのだが、スーパースポーツ、アドベンチャーツアラー、ネオクラシック、スポーツネイキッド、クルーザー、モトクロッサーなど、幅広い分野を網羅するラインアップからは、かつての同社とは異なる勢いが伝わってくる。

それに続いて僕の琴線に触れたのは、イタリアの本社から来日したプロダクトスポンサー、ロッコ・カノーサさんの話の中で出てきた、“MotoGP由来のテクノロジー”というキーワード。改めて考えればディアベルV4とXディアベルV4は、世界で唯一(2台だから唯二?)、MotoGPのDNAを継承するクルーザーなのである。

もっとも、近年のMotoGPで圧倒的な強さを誇るデスモセディチと市販車に共通部品は存在しないはずだが、現在のドゥカティが販売するV4シリーズには、世界最高峰のレースで培ったノウハウが活かされているのだ。
そしてそういった市販車の中で、フレンドリーさで1-2位を争うモデルが、クルーザーのディアベルV4とXディアベルV4ではないか……と、僕は感じている。
ディアベルV4との相違点

2025年2月のドゥカティワールドプレミアで初公開されたXディアベルV4の詳細は、すでに当サイトを含めた多くのメディアが報じている。そこで以下の文章では、似て非なる資質を備えるディアベルV4との違いと、XディアベルV4の展示車に跨っての印象を紹介したい。

まずはディアベルV4との違いを記すと、168psを発揮するV4エンジンや一部のシャシーパーツ、ライダーをサポートする多種多様な電子デバイスは共通だが、外装や灯火類、ライディングポジション関連部品、前後ホイール、4本出しマフラーなどは各車専用設計である。

そして車両のキャラクターを決定づけるホイールベース・シート高・キャスター角は、ディアベルV4が1593mm・790mm・26°で、XディアベルV4は1620mm・770mm・29°。
クルーザーという同じジャンルに属していても、車格が小さくて着座位置が高くてキャスター角が立ったディアベルV4はスポーツ性重視、ロー&ロングなXディアベルV4は安定指向なのだ。

まあでも、それはあえて言えばの話で、ディアベルV4でもクルージングは堪能できるし、XディアベルV4でスポーツライディングが楽しないわけではないと思う。
予想外のフレンドリーな資質

続いてはXディアベルV4の展示車に跨っての話で、僕の第一印象はアラッ?だった。
V2エンジンを搭載していた先代のXディアベルは、小柄なライダーにはハードルが高いライディングポジションだったのに、ハンドルグリップ~着座位置の距離が短くなり、フォワードコントロール式ステップの位置がやや後退した(±20mm調整が可能)……ように思えるXディアベルV4は、乗り手の体格を問う雰囲気が希薄になっているのだ。

しかも先代と比較するなら、XディアベルV4はサイドスタンドを払って車体を直立させる際の手応えが軽く(車重は先代-6kg)、前後シートは快適性が劇的に向上していそうなのである(前席は厚さが+54mm。後席は幅が+30%・長さが+50%で、厚さは+25mm)。

斬新なルックスや圧倒的なエンジンパワーに注目が集まりがちなXディアベルV4だが、この感触なら小柄なライダー、そしてストップ&ゴーが多い日本の道路事情でも、ロングランが楽しめるんじゃないだろうか。

もっとも、そういった感触は近年のドゥカティが販売している多くのモデルに通じる話で、MotoGP由来の最先端テクノロジーを積極的に導入しつつも、親しみやすさや快適性を意識した開発を行っているからこそ、近年の同社は世界中で支持層を拡大しているのだろう。
10月4日~11月2日にデビューフェアを開催‼
ドゥカティジャパンでは、10月4日(土)から11月2日(日)までの約1カ月間、同車のデビューフェアを開催する。期間中にXディアベルV4を試乗し、見積りを取ったライダーにはオリジナルタンブラーがプレゼントされるので(在庫が無くなり次第終了)、このモデルに興味のある方は、ぜひとも全国のドゥカティディーラーに足を運んでいただきたい。
