WRCの名マシンを再現!
2.2L仕様のエンジンに純正タービンを合わせたトルク狙い仕様!
最近でこそGRヤリスでWRCを席巻しているトヨタだが、90年代を知るユーザーにとってトヨタのWRカーといえばセリカであり、思い浮かぶカラーリングはワークスマシンがまとっていたカストロールだろう。

今回紹介するST205のオーナー・小西さんは、当時WRCをテレビで観戦していた程度で、熱狂的なラリーファンというわけではなかったという。実際、新車で購入したセリカは長らくフルノーマルのまま乗られており、最初のカスタムがこのカストロール・レプリカラッピングだった。

「このクルマの前はセリカXXに乗っていましたけど、セリカにこだわっていたのではなく、雪道でも安心な4WD、荷物が積みやすいハッチバック、MT車…といった希望を満たすのがST205でした。10年ほど普通に乗っていたのですが、スバルがWRCレプリカのラッピングサービスを開始したと知って、なにげなく行きつけのディーラーに“トヨタもできるのか”と尋ねてみたら“ウチもできます”って返事が返ってきたんですね。それならカストロールでいこう、レプリカにしたから足回りも変えようか…って流れで、気がつけばランプポッドまで装備していました」とは小西さん。
ちなみに、ディーラー経由でモデリスタが手掛けたという最初のラッピングは、商標の関係からか施工できないロゴも多く、当初はカストロールとTTEのロゴ程度のシンプル仕上げだったそう。しかし、不慮のトラブルでダメージを受けたフェンダー修復時にリメイクを敢行し、ランプポッドを備えてユハ・カンクネンが参戦していた96年モンテカルロ仕様へとアレンジ。ラリー会場の展示でも注目される、抜群の完成度を引き出した。

ビジュアルだけでなく走りの実力も追求。3S-GTEは2.2L化を敢行しているが、これは遠方イベントに出かけることが増えたことから、17万km時にオーバーホールついでにトルクアップを図ったものだ。とにかく高速巡航を楽にしたいとの考えで、インタークーラーやタービンは純正のまま仕上げ、340ps&44kgmというスペックを誇る。
「当初は月を目指して38万km走破目標でしたけど、気付けば43万kmを突破。頑張って地球まで戻らなきゃって感じですね(笑) WRCマニアではないですし、通勤にも使用しているのでやりきった感はありますが、純正だけでなくアフターパーツもなくなる一方なので、パーツ探しをしながら次のアップデートを考えていきます」と小西さんは語る。

長らく純正マフラーとしていたが、2.2L化に合わせて溶接が美しかったフジツボ・レガリスRやサード・メタルキャタライザーで排気チューン。リヤスポイラーアダプターは海外輸出用をセットしている。

攻めの走りはしないが、レプリカつながりで入手したプロトモデルのシーケンシフターを装備。シフトチェンジは楽しいが、信号の多い市街地は1速戻しが大変とのこと。

RCのみのボディカラー設定だったホワイトは、最初のレプリカ仕様を製作する際にオールペンで実現したもの。使用ロゴが制限されてシンプル仕上げだった状態から、ランプポッドが似合うモンテカルロ仕様を突き詰めてリメイクした。

シビエのライトを組み込んだランプポッドが4灯、ロービーム×2、フォグ×2で合計8灯に仕上げられた。各ランプは75W・12000KのHIDとなっていて、日本で一番明るいセリカを自称している。

ホイールは大口径がカッコいいとの考えから、ラリーホイールイメージの18インチをイギリスから入手。OZレーシングのラッピングを添えて、足元は魅せるターマック仕様に仕上げている。


長く乗り続けるためのボディ補強として室内にロールケージを張り巡らせ、2名乗車に変更。大画面ナビやデフィのマルチメーターを見ても分かるように、インテリアはラリーテイストを感じさせない仕上がりだ。

住まいが京都の中心地ということから、信号待ちでは海外観光客からカメラを向けられることも多いというレプリカマシン。見た瞬間に90年代にトリップさせてくれる、眼福といっても過言じゃない完成度を誇っている。
●取材協力:トライアル 大阪府堺市美原区丹上87-1 TEL:072-369-3539
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