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今日は何の日?

■大ヒットした初代のブラッシュアップを図った2代目フィット

2007(平成19)年10月18日、ホンダの「フィット」が初のモデルチェンジで2代目に移行することが発表(発売10月26日)された。2代目は、市場で高い支持を受けた基本コンセプトは継承しながら、内外装はもちろん、新開発のエンジンによるパワーアップと燃費改良、そしてユーティリティの高さにさらなる磨きをかけた。

ホンダ2代目「フィット」
2007年にデビューしたホンダ2代目「フィット」

打倒ヴィッツで登場したMMコンセプトのフィット

トヨタ・ヴィッツが開拓した新世代のコンパクト市場に新たに名乗りを上げたのが、ホンダ・フィットだ。ホンダ伝統の“MM(マンマキシマム・メカミニマム)思想、すなわち”人のためにスペースは最大に、メカは最小に”に基づいて開発された。

初代「フィット」
2001年にデビューした初代「フィット」

最大の特徴は、コンパクトカーでありながら圧倒的なスペースユーティリティを実現したこと。通常は後席下に配置される燃料タンクを、前席下の車両中央に配置したセンタータンクレイアウトを採用して、ワンクラス上の低床室内空間を生み出したのだ。

パワートレインは、新開発の1.3L 直4 SOHC i-DSIエンジンとホンダマチックS-CVTの組み合わせ。i-DSIは、1気筒の燃焼室に2つの点火プラグを対角に配置し、点火タイミングをずらすことで急速燃焼を実現する方式。これにより、燃費はクラストップの23km/L(10-15モード)が達成された。

初代「フィット」
2001年にデビューした初代「フィット」
初代「フィット」
初代「フィット」のリアビュー

また、優れたエンジン性能と軽量なボディが相まって、小気味よい走りも実現したフィットの2001年の販売は半年足らずで10万台を超え、翌2002年は25万790台を記録。2年目でカローラを凌ぎ、ホンダとして初の登録車トップの座を獲得した。

キープコンセプトながらレベルアップを目指した2代目

ホンダ2代目「フィット」
2007年にデビューしたホンダ2代目「フィット」

大ヒットした初代フィットの後を継ぐという重責を担った2代目の開発コンセプトは、“ド真ん中の直球勝負”。デザイン、使いやすさ、動力性能、経済性について、全方位的な正常進化を図った。

2代目「フィット」のリアビュー
2代目「フィット」のリアビュー

ボディサイズは、初代に対して55mm長く、ホイールベースも50mm延長され、さらにトレッドもフロント35mm/リア30mmそれぞれ広げられ室内スペースは広くなった。一方で、スタイリングはシャープなウェッジシェイプが強調された。Aピラーは先代に比べて120mm前方に移動(「超フォワードキャビン」)。ノーズからルーフへとつながるウェッジシェイプが強調された。

2代目「フィット」のコクピット
2代目「フィット」のコクピット
2代目「フィット」の車室内
2代目「フィット」の車室内

インテリアについても、初代のアピールポイントだった多彩なアレンジが可能なウルトラシートが継承された。さらに、操作方法を簡略化することによって、例えばリアシートのフルフラット動作はワンアクションで可能になった。

2代目フィットのグレード別
2代目フィットのグレード別
2代目フィットのグレード別
2代目フィットのグレード別
2代目フィットの居住性・乗降性
2代目フィットの居住性・乗降性

パワートレインは、新開発の最高出力100ps/最大トルク13.0kgmの1.3L 直4 SOHC i-VTEC PGM-FI(燃料噴射)とハイスペックグレードRS用の120ps/14.8kgmの1.5L 直4 SOHC i-VTEC PGM-FIの2種エンジンと S-CVT(FF)および5速AT(4WD)の組み合わせ、駆動方式はFFと4WD。性能アップだけでなく、エンジンの効率向上やCVTの低フリクション化なども行ない、燃費も5%以上改善された。

2代目フィットに搭載された1.5L/1.3Lエンジン
2代目フィットに搭載された1.5L/1.3Lエンジン

車両価格は、2WD(CVT)仕様が119.7万円と134.4万円に設定された。2代目フィットも引き続き、初代ほどではないが人気を獲得した。

久々のスポーツモデルRSが設定された2代目

2代目フィットには、ホンダが継承してきたRSというモデルが設定された。RSはロードスポーツではなく、“ロードセーリング(Road Sailing)”の略で、クルマ好きために専用デザインされた特別なモデルである。

2代目「フィット」のスポーツモデル「フィットRS」
2代目「フィット」のスポーツモデル「フィットRS」

スポーツ性を高めたモデルのRS が誕生したのは、1972年8月に登場した初代「シビック」の約2年後の1974年10月のこと。RSモデルは、内外装や足回りなどをスポーティな専用仕様とし、レースでも活躍して高い人気を誇った。

初代「シビック」のスポーツモデル「シビック1200RS
1974年にデビューした初代「シビック」のスポーツモデル「シビック1200RS」
初代「シビック」のスポーツモデル「シビック1200RS
1974年にデビューした初代「シビック」のスポーツモデル「シビック1200RS」

そして、シビックRSから30年以上の時を越えて、RSモデルがフィット2代目で復活したのだ。フィットRSは、1.5Lエンジンを搭載した上級モデルをベースに、専用のフロントグリルやバンパー、サイドシルガーニッシュ、リアコンビネーションランプなどでスポーティさを強調。専用のサスペンションセッティングを施し、大径タイヤとブレーキ、VSA(車両挙動安定化制御システム)を装備し、フィットらしからぬスポーティで力強い走りを実現した。

2代目「フィット」のスポーツモデル「フィットRS」
2代目「フィット」のスポーツモデル「フィットRS」

車両価格は、2WD(CVT)仕様が157.5万円と装備の割にはリーズナブルで、走り好きから注目を集めた。

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初代フィットが歴史的な大ヒットとなったことから、2代目は当然のこととしてキープコンセプトで、良い点は磨きをかけ、弱みは改良していくという考え方で開発された。軽ハイトワゴンの台頭で販売台数は落ちたが、コンパクトカーとしてはヴィッツを上回る成績を残した。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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