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今日は何の日?■RVブームを意識した2代目サファリ
1987(昭和62)年10月19日、日産自動車からオフローダー4WD「サファリ」の2代目がデビューした。2代目は、1980年代中盤から火がついたRVブームに対応するため、多くのメカイズムを一新して本来のオフローダーとしての機動性は維持しつつ、乗用車ライクな方向への変貌を図った。

本格オフローダーとして誕生したパトロール
「サファリ」は国内専用に使われた車名で、海外では「パトロール」を名乗っている。パトロールは、戦後自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のために開発された。制式車両には採用されなかったが、その後「パトロール」として1951年に市販化された。

パトロールは、ラダーフレームに4輪リジット・リーフ式サスペンション、エンジンは大型トラック用の4.0L 直6エンジンを搭載した頑強な4WDオフローダーだった。しかし、当時はまだ庶民のレジャー用としての需要は少なく、農林業や建設土木業などの用途に限られた。
パトロールは、1960年10月初めてのモデルチェンジで2代目に移行。基本的なメカニズムは初代のものが踏襲されたが、一般にも親しみやすいランドローバー風のスタイリングに変貌した。最高出力130psを発揮する4.0L 直6 OHVディーゼルエンジンを搭載して、当時最強のオフローダーと評価された。
3代目パトロールから国内でサファリを名乗る

1980年にはパトロールは3代目を迎え、スタイリングはそれまでの武骨でボクシーなスタイルから、レジャーユースも狙ったスマートなイメージに変貌。スタイルが一新され、国内ではサファリ(160型)と名乗った。
ボディは、3ドアショートボディのFRPハードトップ(乗用車登録)と5ドアロングボディ・メタルトップバン(貨物登録)の2モデル。本来の本格オフローダーとして悪路走破性と耐久性を確保するため、車体はラダーフレーム+4輪リジット・リーフ式サスペンションの構成が踏襲された。

パワートレインは、最高出力95ps/最大トルク22.0kgmの3.2L 直6 OHVディーゼルエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WD。サファリはライバルのトヨタ「ランドクルーザー」、三菱「パジェロ」とともに世界のSUV市場を席巻するヒットモデルとなった。ただし、国内については、ランクルとパジェロの後塵を拝した。

オンロード走行の走りを改良した2代目
2代目サファリ(Y60型)は、1987年10月のこの日にデビューした。1980年代中頃から日本ではアウトドアブームが起こり、多くの荷物を積めてどこにでも行ける、悪路でも難なく走破できるRVと呼ばれた4WDオフローダーが人気となった。

日産ではこのブームに対応するため、2代目サファリは初代よりさらにオンロードでも快適に走れる4WDオフローダーへと変貌させた。2代目の開発コンセプトは、“キング・オブ・アドベンチャー”であり、オフロード性能はもちろん、オンロードでの走りも大きく改良されたのだ。

ボディタイプは、2ドアハードトップと4ドアエクストラバンの2種類で、多くの基本機能が設計し直された。フレームは、サイドメンバーの断面拡大やサイドメンバーのレインフォースの採用などで大幅に剛性を強化。さらに、サスペンションは4輪リーフリジット式から、フロントが3リンク式、リアが5リンク式を採用することで、オンロードでの直進性やコーナリング時の走行安定性が改善された。

パワートレインは、新開発の最高出力125ps/最大トルク27.8kgmを発揮する4.2L 直6 OHVディーゼルエンジンと5速MTの組み合わせ。駆動方式は、40km/h以下であれば走行中にFR→4WDの切り替え可能なセレクティブ4WDが搭載された。

車両価格は、標準グレードで252.2万円(ハードトップ)/223.4万円(エクストラバン)。その後、2代目サファリは、前後のフェンダーを広げたグランロードを設定、1992年には乗用車登録のワゴンも追加された。
また1991年には、国内向けにガソリン車も設定して、2代目サファリは従来の頑強なオフローダーのイメージから、レジャーなどマルチユースの4WDオフローダーへのイメージチェンジに成功したが、初代同様に海外ほど国内の人気は伸びなかった。

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1997年には、ひと回り大きくパワーアップした3代目サファリ(Y51型)が登場したが、国内での人気は今ひとつ支持されず2007年にサファリの国内販売を終了した。海外で人気のパトロールだけに乗用車テイストを強めても、パジェロやランクルなどに較べると全体的に武骨なイメージが強く、国内ではややマニアックなモデルとなってしまったのだ。
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