アップデートと匠の業。
細部までこだわり抜かれた一流ショップのメイキング!
ブーストアップから、憧れだったタービン交換へと仕様変更。ペントルーフ代表の北林さんがオーナーのリクエストに応えるべくパーツを吟味し、パワーと耐久性のバランスを図りながら、長く乗れるように仕上げたのがこのJZA80だ。

エンジン本体はカムシャフトのみHKS製264度に交換されるけど、オーナーの希望によって、それ以外は腰下を含めてノーマル。タービンはHKS GTIII-4Rが選ばれ、吸気系ではサクション&インテークパイプ、排気系ではサード製スポーツキャタライザーを組み合わせたフロント&センターパイプがワンオフされる。

「腰下がノーマルなので、純正コンロッドの強度からブースト圧は最大1.3キロに抑えるのが前提になります。その条件で風量に余裕があるタービンをセットすれば、パワーはだいたい600ps前後に落ち着きますね」と北林さん。
また、燃料系はサード製ポンプとRB26用700ccインジェクターを加工流用して容量アップ。点火系はHKSスーパーファイヤーレーシングコイルプロで強化され、制御はF-CON Vプロが担当する。このあたりはチューニングメニューの一つでありながら、クランクシールやカムシール、タイミングベルトなど消耗品の交換に相通じるものがある。北林さんが言う。
「JZA80を始め、最終型でも20年以上が経過したクルマは、今までどれだけメンテされてきたかによって程度が大きく変わります。これまで数多くのクルマを診てきて思うのは、対処療法ばかりでトラブルが出る前に整備されてるケースが少ないこと。例えばイグニッションコイル。過去に交換歴がなければ確実に劣化してます。なので、たとえエンジンがノーマルでも、今時のパーツを導入することで調子が良くなりますよ」。
さらに、オーナーが望むスペックを実現した上で、機能性や見た目の印象を考えて、もうひと手間かけるのがペントルーフ流。このJZA80では、オイルキャッチタンクに接続するラインが一般的なシリコンホースでなく、アルミパイプを手曲げしたワンオフ品とされている。ホースでは垂れ下がったところにオイルが溜まってしまうけど、これならその心配がない。
「昔はキットと言っても、すんなり装着できるパーツなんてなかったですからね。必ず、“切って、貼って、足して”という作業をやってました。何か手を加えたくなるのは、その頃の名残みたいなもんですよ」。そう言って笑う北林さん。性能を追求するだけではない。細部にまで拘ったエンジンメイクは匠の業と呼ぶに相応しい。

足回りはブリッツZZ-R車高調を装着。前後スタビライザーはクスコ強化タイプに交換される。ブレーキは前後とも純正キャリパー&ローターの組み合わせ。


ステアリングホイールはプロドライブ製バックスキンタイプに交換。追加メーターはデフィで統一され、メータークラスター右側にブースト計、助手席の前に水温/油温/油圧計が並べられる。また、グローブボックス内にはHKS EVCⅦとデフィリンクメーターのコントロールユニットをセット。

外装はバリスカーボンボンネット、RIDOXフロントバンパー、純正オプションサイドスポイラー、BOMEXリヤバンパー、C-WEST GTウイングというエアロミックス。ホイールはヨコハマAVSモデルT7を履く。
現代のチューニングとは、長く気持ちよく乗るためのアップデート。今、JZA80スープラに必要なのは、こうしたアプローチなのかもしれない。
●取材協力:ペントルーフ 東京都大田区大森東2-28-2 TEL:03-5493-0840
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