仕様違いでNAロードスターを楽しむ!
正統派の4スロ仕様&異色のロータリースワップ仕様!
レーシングドライバーの中には、若い頃からチューニングカーを乗り継いで腕を磨いてきたタイプも少なくない。佐々木雅弘選手もその一人だ。TOYOTA GAZOO Racingで活躍する彼は、手頃なクルマを何台も乗り継ぎながらチューニングを楽しみ、ドライビングスキルを磨いてきたという。

佐々木選手にとって、常に手元に置いていたのがNA型ロードスターだ。
「免許を取ったときから、ロードスターはずっと1台は持っていました。若い頃はレース資金を工面するために愛車を手放すこともありましたが、NAロードスターだけは手放さなかったんです。もちろん好きだったのもありますが、当時は価格も安く、資金作りには向いていませんでした(笑)。ハチロクは接地感が薄く、破綻させながら振り回す楽しさがあります。でもNAロードスターは軽快でありながら四輪がしっかり接地していて、クルマの動きを正確に感じられる。いわば“動かし方を学べる教科書”のような存在ですね」と語る。
今回取材したのは、佐々木選手が現在所有するNA型ロードスター3台のうちの2台。1台は13Bロータリーエンジンに換装し軽量かつハイパワー仕様に仕上げたスワップ仕様。もう1台はBP-ZEエンジンを2.2Lまで排気量アップしたフルチューンの正統派4連スロットル仕様だ。さらにもう1台はターボ仕様として所有している。


まずはロータリースワップ仕様から。ペリフェラルポート加工が施されたエンジンは実測230psを発生、重量バランスを追求して搭載位置を約20mm後方にずらしフロントミッドシップ化を敢行している。
しかし、エンジン回転軸が高くなったことでロードスター本来の絶妙なバランスは崩れたという。ベースは後期型1.8Lモデルだが、ドアを初期型NA6C用(補強ビーム無し)に変更し、車両重量を800kg台まで軽量化。バランスは崩れたが、チューニングカーとしての楽しさは増していると話す。

サスペンションはマツダスピードのN1レース仕様をセット。ロータリーエンジン換装換装による前後重量変化に合わせ、スプリングレートをハード方向に見直している。

サーキットスペックのため、助手席や内装パーツはいさぎよく撤去済み。ロールケージもサイドバーや斜行バーを組み合わせるほか、ボディのスポット増しも行なわれ剛性アップを図る。


次に正統派の4スロ仕様のNA8C。BP-ZEエンジンをベースに排気量はノーマルのまま、CPピストンとIN/EX272度カムを組みソリッドリフター化。4連スロットルには4A-G 5バルブ流用のスロットルを組み合わせている。

足回りはダンパーのストローク量を稼ぐためにアッパーマウント上にアダプターを組み込み、ストラット周辺をスポット溶接増ししてボディ剛性を向上させている。

ストリートでの使用を前提に、内装なども全て残されている。また、ロールケージは上部の重量増やヘッドクリアランスを確保するためにボルト留めではなく溶接タイプとしているのもポイントだ。

「ほぼ同じ時代のAE86とNAロードスター、同じテンロクのFRというパッケージなのにまったく違う感じがあってどちらも楽しいんですよね。今も所有する2台のAE86とともに、自分のガレージで大切に維持している車両です。ちなみに、僕がプロデュースしているGRガレージグロウ盛岡は、決してトヨタ車専門ではなく、すべての走り好きの皆さんのクルマのメンテやカスタムのご相談を受け付けますのでご用命下さいね!」と佐々木選手。
今やトップレーサーの仲間入りを果たした佐々木選手。走り出したばかりの当時を思い出させてくれるロードスターとの時間は、今も欠かすことのできない心の拠り所なのだ。
●取材協力:GRガレージGROW盛岡 岩手県紫波郡紫波町高水寺稲村27−1 TEL:019-676-2330

