連載

今日は何の日?

■ハッチバックベースの3BOXセダン「ティーダラティオ」

2004(平成16)年10月29日、日産自動車はひと月前にデビューしたコンパクトハッチ「ティーダ」ベースの3BOXセダン「ティーダラティオ」を発売した。ベースとなったティーダとその派生車ティーダラティオは、日産リバイバルプランに成功した日産が投入した6台の世界戦略車のうちの2台である。

2004年にデビューした日産「ティーダラティオ」

日産再生を目指した世界戦略車のティーダ&ティーダラティオ

1990年代初頭のバブル崩壊以降、経営悪化に苦しんでいた日産は、1999年にルノーと提携して傘下に収まることになった。最高経営責任者に、当時ルノーの副社長であったカルロス・ゴーン氏を迎え、大胆なリストラ策などの“日産リバイバルプラン”を敢行。V字回復によって2003年に負債を完済し、その勢いで世界戦略車の開発に注力し、2004年から以下の6台の新型車を次々と投入した。ティーダラティオとそのベースのティーダは、その中の2台だった。

2004年にデビューしたラージサイズのクロスオーバーSUV、日産「ムラーノ」
2004年にデビューしたセドグロの後継車の高級セダン、日産「フーガ」

・ムラーノ:ラージサイズのクロスオーバーSUV
・フーガ:セドリック/グロリアの後継となる高級セダン
・ティーダ:パルサーの後継となるハッチバック
・ティーダラティオ:サニーの後継となるティーダ派生の小型セダン
・ラフェスタ:リバティの後継となる7人乗りミニバン
・ノート:ファミリー向けのコンパクトカー

ティーダラティオの1ヵ月前に発売されたティーダ
2004年にデビューした日産「ティーダラティオ」
2004年12月に発売されたラフェスタ
2005年1月に初登場したノート

高級コンパクトカーをアピールしたティーダ

ティーダラティオのベースである「ティーダ」は、2004年9月にデビューした。“コンパクトの質をシフトする”というキャッチコピーで生まれたティーダは、5ナンバーサイズの空間をより広く、よりクオリティ高く仕立てた5人乗りのコンパクトハッチバック車である。

ティーダラティオの1ヵ月前に発売されたティーダ

室内は、ソフトパッドやアルミ調パネルを効果的に用いてクラスを超える高級感が演出された。また、前後に240mmのスライドができ、シーマ並みの広い足元空間とステーションワゴン「ウイングロード」並みの荷室長が両立された。

パワートレインは、新開発の最高出力109ps/最大トルク15.1kgmを発揮する1.5L 直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ。駆動方式は、FFと電動4WD「e-4WD」が設定された。また安全装備として、全車にSRSデュアルエアバッグやEBD(電子制御制動力配分システム)&ブレーキアシスト付ABS、前席アクティブヘッドレストが採用された。

特に派手さはないが、上品で世界戦略車らしいスタイリングや高級車に負けない室内空間を特徴とするティーダは、発売後3年半で世界販売台数100万台を達成するヒットモデルとなった。

上級なコンセプトセダンを売りにしたティーダラティオ

「ティーダラティオ」は、ティーダから遅れること1ヶ月後の2004年10月のこの日にデビューした。“セダンの基準をシフトする”というキャッチコピーで、モダンで若々しいデザインとくつろげる室内空間が訴求ポイントだった。

2004年にデビューした日産「ティーダラティオ」

ティーダラティオの室内の特徴は、5ナンバーサイズながら上級クラスに匹敵する広い室内空間と高級なインテリアだ。大型セダン並みの室内長により、前後席ともゆったりと足が伸ばせるゆとりの室内とクラストップレベルのトランクルーム容量を実現。またインテリアは、モダンで高級感あふれる木目調パネルが採用され、高級感が演出された。

「ティーダラティオ」のコクピット
「ティーダラティオ」のシートアレンジ

パワートレインは、ティーダと同じ最高出力109ps/最大トルク15.1kgmを発揮する1.5L 直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ。駆動方式もFFと電動4WD「e-4WD」が設定された。さらに、高機能のサスペンションなどにより、市街地だけでなく欧米を意識して高速道路でも快適な乗り心地が達成された。

「ティーダラティオ」搭載の1.5L 直4エンジン

車両価格は、132.3万~173.25万円(2WD)/163.8万~179.55万円(4WD)に設定。コンパクトながら上質感をアピールしたティーダラティオは、セダン冬の時代ながら2004年~2012年まで堅調な販売を続けた。

2004年にデビューした日産「ティーダラティオ」のリヤビュー

しかし、2012年にモデルチェンジした2代目は、ティーダの冠が外れて単独名ラティオとなり、ベースがマーチで1.2L 直3エンジンを搭載した実質的なクラスダウンとなり、上級なコンパクトセダンというコンセプトとは完全に逸れて、ラティオの販売は低迷することになった。

2012年にデビューした2代目「ラティオ」

・・・・・・・・・
ベースのティーダは、2011年4月に海外で2代目モデルが発表されたものの国内には投入されず、2012年8月にワンクラス下のコンパクトカー「ノート」に統合される形で国内販売は終了。ティーダラティオも、コンセプト変更で上手くいかず2016年に国内販売を終えた。日本市場は、SUVとミニバンが席巻しており、セダンやハッチバックが一定の人気を得るのはやはり難しい。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

連載 今日は何の日?

歴史 20時間前

トヨタ「アリオン」はカリーナの後継で広い室内が自慢!162万円~01年登場【今日は何の日?12月25日】

歴史 2025.12.24

“大人のタント”! ダイハツ「タントエグゼ」は113万円~09年誕生が、スライドドア廃止が不評で1代で終わる…【今日は何の日?12月24日】

歴史 2025.12.23

本格電動4WD、日産「ノート e-POWER 4WD」は229万円~20年誕生【今日は何の日?12月23日】

歴史 2025.12.22

スバル「レガシィB4・ブリッツェン」はポルシェデザインと共同開発、300万円~99年発表【今日は何の日?12月22日】

歴史 2025.12.21

トヨタ「ブレイド」はお洒落な大人の高級ハッチバック、225万円~06年発売も1代で終わる…【今日は何の日?12月21日】

歴史 2025.12.20

ホンダ「フィットアリア」はフィットベースのセダンでタイ生まれの逆輸入車!107万円~02年発売【今日は何の日?12月20日】