車両搬送ロボットは、自動車メーカー工場、モータープールなどにおける完成車自動搬送や、ショッピングモール、テーマパーク、空港などにおける自動バレーパーキング※2などに用いられるものである。車両自体に自動運転機能や通信機能が備わっていなくても自動運搬を可能にする技術であり、車両の改造やインフラ側への大掛かりな機器設置を必要とせず、現在のオペレーションを大きく変更することなく、新車および中古車モータープールで広く活用が可能とされる。
MHI-MSは、フランスのベンチャー企業であるスタンレーロボティクス社(Stanley Robotics)と、日本初の先進的自動搬送ロボット事業を2021年より共同展開している。本年10月現在、車両搬送ロボットについて、市場拡大の強みとなる基幹特許7件の国内登録を完了。日本固有の事情を踏まえ、カスタマイズも可能となる国産化も本年3月に完了している。
完成車輸送の実証試験の場となる沖縄は、20歳以上の人口1人当たりの自家用車保有台数が全国平均を上回るなど、自家用車の保有率が高い地域である。特に中古車は、新車よりも価格を抑えられるので多くの県民に支持され、生活インフラとして重要な役割を果たしている。また、沖縄には国内外から多くの観光客が訪れるため、レンタカーの登録台数は全国最多クラス。登録されるレンタカーは数年で入れ替えられ、中古車として市場に流通している。このように中古車市場は沖縄の産業・生活を下支えしている。

【注釈】
- 「令和7年度テストベッド実証支援事業」(沖縄県補助事業)は、革新的なデジタル技術・サービスを持つ企業等による沖縄県内での実証実験に対する支援を行い、イノベーションの創出につなげ、社会課題の解決等を図ることを目的としている。
- ドライバーが目的地に近接した所定の乗降場(バース)に停車すると、車両搬送ロボットが空いているスペースに車両を搬送し、駐車を代行するもの。乗車する場合はその逆で、ドライバーが事前にスマートフォンのアプリで指定した時間に合わせ、ロボットが車両をバースまで搬送する。ドライバーにとっては、駐車スペースを探して駐車する手間がなく、ドアの開け閉めによる隣の車との接触トラブルがないといったメリットがある。
