平日の朝でも駅から混雑が


モーターショー改めジャパンモビリティショー(JMS)が絶賛開催中だ。私も10月29日のプレスデイに訪れたが、実のところJMSの速報本制作のために、プレスセンターのデスクで仕事をしていた記憶しかない。そこで改めて一般公開日に今年の「モビショー」の熱気を肌で感じることにした。
とはいえ、いきなり週末の混雑に突っ込む勇気はなく、平日の朝を狙って東京ビッグサイトへ。開場時間の10時前には、すでに「ゆりかもめ」の駅前から人の流れがつながっており、巨大な逆ピラミッド(これも名物だ)を背景に記念撮影を楽しむ来場者が絶えなかった。
速報本制作のおかげで会場レイアウトだけは妙に詳しくなっていた。いわゆる耳年増ってやつだ(違うか)。そこで、この記事ではゲンロクWeb読者が好きそうな展示を効率よく回る「ゲンロクJMSルート」を提案したい。
西ホール4階から南ホールへ













まずは中央ゲートから入り、西ホールを目指す。ゲートは2階にあるが、西ホール1階ではなく西ホール4階へ直行するのがポイントだ。4階(西3・4ホール)は、部品・機械器具系の展示が中心でやや地味(失礼)な印象だが、次世代の技術に生で触れる機会であり、なかなか興味深いブースも多い。なんといっても人の流れが比較的穏やかで、メイン会場の超混雑に慣れるにはちょうどいい。
そして、西ホール4階をぶらぶら抜けると、そこには屋台がずらりと並ぶJMSグルメストリートがある。もしも昼時ならここでランチをとってもいいだろうが、今回はまだ10時過ぎということでスルー。
そのまま南ホール4階の方へ移動する。西ホールと南ホールは4階でも接続されており、そのままスムーズに移動できる。ゲンロクWeb的に南ホール4階のお目当ては、やはりスーパーカーがらみだ。日本スーパーカー協会の展示エリアでは、「アルトゥーラ スパイダー」や「マクラーレン ホンダF1(MP4/6、1991年日本GP優勝マシン)」を展示したマクラーレンを筆頭に、フェラーリやアストンマーティン、ケーニグセグ、ダラーラなどが展示されており、すでにこの時点で人の熱気が渦巻き、まるで夏フェスのような混雑ぶり。早々に次の目的地である南ホール1階へ足を進めることにした。
トヨタグループの「センチュリー劇場」
















南ホール1階に降りると、そこにはトヨタグループ(トヨタ、レクサス、センチュリー、ダイハツ)の巨大ブースが広がる。今回のショーストッパーがセンチュリーであることに異論はないだろう。このクーペ登場から単一車種の枠組みを超えて、レクサスのような高級ブランド化が進められるという。しかも、セダンの次に登場したSUVのように“超”がつく高級車群となる計画だ。事前に見た写真からもただならぬオーラを放っていた。ぜひ見たい。
しかし現実は厳しい。平日午前中にもかかわらず、壇上の車両は人垣の向こう。見えるのは豊田自動織機の黎明期のG型自動織機くらいで、センチュリーブースにはなかなか近づけない。ようやく辿り着くと「待機列入場口」の案内看板があり、ブースの入り口はまったく異なることがわかった。
地図をもとに入場口に向かうと、そこには無情にも「待ち時間30分」と掲示されている。その宣告に怯みつつもともあれ並ぶ。ブースの裏の誘導通路に設置されたモニターにはプレスカンファレンス映像がループ再生されており退屈しない。列の流れもスムーズで、はたして並びだしてから10分ほどで入場できた。
入り口のセダンやSUVもしっかり目に焼き付けつつ、お目当てのクーペにご対面。苦節10分を思うと感慨深い。入場制限の甲斐あって、人の頭越しでなくしっかりとワールドプレミアを目に焼き付けることができた。リヤの造形など写真で感じた印象と異なる。やはり実物はいい。ブースそのものも入場前にいい香り付きカードが配られるなど、雰囲気作りに余念がない。ぜひ五感で感じてほしい。
自由な人気ゾーン、BMWブース






続いて西ホール1階のBMWブースに向かう。今回の目玉はなんといってもアジアプレミアとなる「iX3」だろう。だが入場制限も規制ロープもない自由なブースでは、もはや細部を見るのが精一杯。車両全体を遠目に見ることは不可能だ。ノイエ・クラッセのなんたるかはいまいち掴めなかった。BMWの次世代主力SUVへの関心は高い。実際ブースの手前には世界限定70台のコンセプトモデル「スピードトップ」もあり、こちらの方が規制ロープがあって見やすかったが、逆にもっと間近に見たかったという思いもある。
意外だったのは、一生懸命に燃料電池システムを撮影している人が多かったこと。ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、BEV、そしてFCEVと全方位対応をしているBMWの懐の深さを感じさせた。
惜しげなく感じられるベンツの“未来感”






続いて、多くの自動車メーカーが入る東ホールへと向かう。東京ビッグサイトの構造上、西と東のホール間はやや遠く、渡り廊下を歩く時間で気持ちをリセットできる一方、「まだ着かないのか」という気分にもなる。しかも今回は東ホールの半分が改修中で、やや手狭な印象を受けた。
それでも、各メーカーが集中する東ホールの熱気は圧倒的だ。メルセデス・ベンツブースでは、Vクラスの未来を予感させる「ヴィジョンV」が注目を集めていた。次期「AMG GT 4ドア」と目される「コンセプトAMG GT XX」も展示されていたが、来場者の関心は完全にヴィジョンVだったようだ。今回は6輪の「レクサス LS」(南ホール1階)だったり、新型「日産 エルグランド」(西ホール1階)などの、普通の市販ミニバンからスーパーミニバン(?)、あるいはフューチャーミニバン(?)までMPVが元気だったように思う。
そのほか「AMG G 63」「マイバッハ SL」などが規制なしで間近に見られるのも魅力だ。また、ジャパンプレミアの「GLC」では、電動モデルにカメラを構える来場者が多数。ヘッドランプ周り、フロントグリルを執拗に撮影し、素材を確認する姿には“業務臭”も漂っていたが……。
4時間で感じた“未来への歩幅”








ここまでで入場から約4時間だった。途中、企画展示の「Tokyo Future Tour 2035」などにも立ち寄ったことを考えれば、3時間半あれば主要エリアは一巡できるだろう。モーターショー本来の“未来のクルマ”のワクワクが体験できる今回のモビリティショーは予想以上に充実した内容だったと太鼓判を押せる。
各ブースを丁寧に巡るなら丸1日、いや2日かかっても足りないが、東京在住なら入場料(前売り=2700円、高校生以下無料)2回分でも遠方からの来場者と比較して交通費が少ないとも考えられる。以上がゲンロクWeb読者向けオススメJMSルートだ。ぜひ予定の許す限り堪能してほしい。
