■通常のスーパーハイトワゴンを上回る全高が特徴のウェイク

2014年(平成26)年11月10日、ダイハツのスーパーハイトワゴン「ウェイク」がデビューした。軽トップの車高によって軽自動車とは思えない広い室内空間を持ち、アウトドアや様々なレジャーを楽しむための装備やオプションが設定された多目的軽自動車である。
ウェイクのベースとなったスーパーハイトワゴンの3代目タント

軽ハイトワゴンのパイオニアであるスズキ「ワゴンR」は1993年に登場。車高をセダン「アルト」より255mm高い1680mmに上げ、さらにホイールベースをクラス最大の2335mmに延長し、従来の軽自動車になかった圧倒的なサイズ感、室内スペースを実現した。
ダイハツは、1995年に対抗馬としてハイトワゴン「ムーヴ」を投入。そして2003年には、独自のパッケージングでさらに車高を高めた、クラス最大級の室内スペースを実現したスーパーハイトワゴン「タント」を投入した。

タントは、全高がムーヴより95mm高い1725mm、またホイールベースは軽最大の2440mmにしてフラットで圧倒的な室内スペースを達成。軽市場のトレンドは、ハイトワゴンから、さらに背の高いスーパーハイトワゴンへと移った。

その後、タントは大ヒットを続けながら2007年に2代目へモデルチェンジした。2代目は、センターピラーレスのスライドドア“ミラクルオープンドア”で人々を驚かせた。そして2013年にモデルチェンジした3代目は、軽量化による低燃費や低価格を進め、さらに予防安全“スマートアシスト”を採用することで安全技術の充実も特徴だった。
この3代目が、ウェイクのベースになったのだ。
タントよりさらに背の高いウェイク登場

2014年11月のこの日、スーパーハイトワゴンのパイオニアであるタントよりさらに背の高い「ウェイク」がデビューした。全高1835mm、ホイールベースは2455mmと、タントを85mmも上回る背の高さが特徴で、当時の軽乗用車としてはトップとなる室内高と室内空間が実現された。

スタイリングは、全高の高さを生かしたボクシーフォルムで、サイド後部に設置された縦長のリアクオーターウインドウが特徴。ツートンカラーのバンパー、ウインカーのベゼル、面発光のクリアランスランプ、角張ったデザインの専用エンブレム、LEDヘッドランプなどで個性をアピールした。

パワートレインは、最高出力52ps/最大トルク6.1kgmを発揮する660cc 直3 DOHC、64ps/9.4kgmのインタークーラーターボの2種エンジンとCVTの組み合わせ。駆動方式は、FFおよび4WDが用意された。

自動緊急ブレーキや誤発進抑制制御、先行車発進お知らせ機能からなる予防安全システム“スマートアシスト”(一部グレード)やVCO(横滑り抑制装置)&TRC(トラクションコントロール)、SRSサイドエアバッグなどの安全装備も充実していた。

車両価格は、2WD仕様で135.0万円~156.6万円(NA車)/162.0万円~174.96万円(ターボ車)に設定。車高を上げるためのボディ強化のために、タントより燃費が悪く(車重増し)価格上昇したこともあり、当初は順調な販売を続けたが、タントのようなヒットモデルとはならずに2022年に生産を終了した。
ウェイクの後継は、タントファンクロス

ウェイクの販売中止とともに登場したのが、2022年10月にデビューしたタントの派生車「タントファンクロス」だ。ファミリー向けのタントに対して、タントファンクロスはアウトドア志向の個性的なモデルである。

アウトドアテイストのワイルドなグリルやバンパー、ルーフレールが特徴で、室内は迷彩風デザインの撥水加工シートに加えてUSBソケットやラゲッジランプなどアウトドア向け装備が充実、荷室には上限2段式デッキボードや多機能ラゲッジとアウトドアや車中泊を楽しむための装備が備えられていた。

ダイハツには、ウェイク以外にも、アウトドアに適した軽として「タフト」、「ムーヴキャンパス」、商用車の「アトレーワゴン」がある。軽自動車も実用性重視のファミリカーと、アウトドアが楽しめる多機能モデルに2分化している。
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一般的なスーパーハイトワゴンよりもさらに背の高いウェイク。ウェイクの投入は、スーパーハイトワゴンを開拓したダイハツらしく、他社が追随したらもうひとつ先を行こうとしたチャレンジングな試みだった。しかし、クルマとしての燃費や安全性、利便性など総合的なバランスを考慮すると、現行のスーパーハイトの車高くらいが最適値だったのではないか、それをウェイクは立証したのかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
