話題のHonda 0 α「ほぼこの形で発売します！」完成度はかなり高い！ 開発責任者インタビュー【ジャパンモビリティショー2025】

「Honda 0」シリーズの入門モデル

−−今回世界初公開された「Honda 0 α」は、これまでの「Honda 0」シリーズとは立ち位置が大きく異なるという印象を受けています。この「α」は「Honda 0」シリーズの開発を立ち上げる段階から構想にあったのでしょうか？

廣瀬さん　ありませんでした。元々はインド市場に対し、ホンダとしてCAFE（企業別平均燃費）規制に対応するためBEV（バッテリー式電気自動車）が必要なので、どういうモデルを作ろうかと企画検討していました。

その中で、インド市場に投入するのであれば、その市場が伸びていくうえで競争力のあるモデルを入れたいと、社長の三部（敏宏さん）を含めて考えていました。それに対する答えが、「Honda 0」シリーズのコンパクトモデル、ゲートウェイモデルを入れる、ということです。

「Honda 0 SUV」との違いは？

−−写真で見るとボディサイズが「Honda 0 SUV」と、違いが分かりにくく感じましたが、実車を見ると「α」はコンパクトで凝縮されていますね。

廣瀬さん　そうですね。デザインが特徴的なので、社内でも「SUV」と「α」を見るとどっちがどっちだということになるんですが（笑）、比較して見ていただくと、「α」はコンパクトで、特に日本を含むアジアでは使いやすいサイズだということを、皆さん理解されます。

−−インドでは全長が4m以下などの条件を満たすと優遇税制を受けられるということですが、「α」はそのくらいの短さでしょうか？

廣瀬さん　いえ、これは「エレベイト」、日本名「WR-V」と同じくらいなので、4mは超えています。

−−「α」はインドで生産するとのことですが、既存の生産ラインを他の量産車と同じように流すのでしょうか？

廣瀬さん　はい、インドのタプカラ工場で、混流ラインで流します。

−−「α」は他の「Honda 0」シリーズと異なり、アメリカでは展開しないのでしょうか？

廣瀬さん　アメリカでは少し小さすぎるのと、アメリカで売ろうとするとレギュレーションやお客様のニーズが異なるので、このクルマを投入するには非常にハードルが高くなります。それで、インドのインフラを使って、インド、日本、アジアに向けて出そうというモデルになっています。

−−BEVはただそれだけで高コストになる中、「α」は3万ドル以下での販売を目指すとのことですが、そのための工夫は？

廣瀬さん　コストの半分くらいはバッテリーですが、それを含めてインドで現地調達しようということを目標に掲げ、コストを下げようということにしました。ただし、インドのインフラを使っても技術的に作れないものがありますので、それは調達構造をどうしようかということで、原価を低減して、3万ドル以下で売れるように企画を進めてきています。

日本では2027年に発売予定

−−「α」のプラットフォームは「SUV」や「Honda 0サルーン」と同じなんでしょうか？　それとも異なりますか？

廣瀬さん　基本的には違いますね。やはりインドで作るには、プラットフォームの中のサスペンションなどシャシー系がインフラ上難しいところもありますので、「SUV」を横目で見ながら、今ホンダの中にある他のBEV、軽自動車から中国市場向けのものまでいろいろありますので、その中で原価をミニマムにして作れる技術をチョイスしています。

−−既存のガソリン車などのプラットフォームを流用しているのでしょうか？

廣瀬さん　プラットフォームは新規に開発していますが、インドでコストを下げるため、例えば「WR-V」の部品を使うことでコストが下がるのであれば、車体部品などでそういうことの検討をして、適用をかけています。やはり量を出さないと、なかなか競合他社にも勝てない、コストも下がらないので、どう量をまとめるかという観点でも作っています。

−−日本での展開はどのようになりますか？

廣瀬さん　基本的にはこのモデルをこのままのデザインで出していこうと。生産拠点はインドのタプカラ工場で、2027年に発売します。

−−このプロトタイプの時点でかなり完成された雰囲気があります。

廣瀬さん　生産技術を含めてこのプロトタイプを作っていますので、ほぼこの形で世の中に出し、お客様にお渡しできるレベルまで来ています。

なかなかこういうデザインはないので、これがインドや日本、アジアのマーケットで走ってくれれば、お客様の目に留まると思いますので、我々も早く出したいと思っています。

−−それはすごく楽しみですね！　ありがとうございました！