街に溶け込むミニベロe-Bikeでデザインと快適性を両立

新型電動アシスト自転車「PAS CRAIG ALLEY(パス クレイグ アリー)」

ヤマハ発動機は、新型電動アシスト自転車「PAS CRAIG ALLEY(パス クレイグ アリー)」を2026年3月27日に発売すると発表した。

パス・クレイグ・アリーは、これまで電動アシスト自転車には乗ったことがあるけれど、購入にまでは至らなかったユーザーへのエントリーモデルとして開発された。「街にさりげなく映えるスタイリッシュミニベロ」をコンセプトに掲げ、デザイン性と走行快適性を高次元で融合。週末の街乗りから日常の通勤・通学まで、幅広いシーンをカバーする新世代のコミューターとして、e-Bike市場に新たな選択肢となる。

企画を担当したSPV事業部 eBikeビジネス部マーケティンググループの碓井紗和さん。

スポーティな美しさを追求した水平基調のフレーム設計

パス・クレイグ・アリーの最大の魅力は、その洗練されたルックスにある。従来の電動アシスト自転車が抱えがちであったバッテリーや駆動ユニットの存在感を極力抑え、シンプルかつスタイリッシュなユニセックスデザインを追求した。

デザインを担当したプロダクトデザイン部 EV&SPVグループの寶田直己さん。

フレーム設計においては、電動アシスト自転車を発明したメーカーであるヤマハの知見が遺憾なく発揮された。スチールパイプならではの細身で美しい設計を活かし、自転車本来の美しさを際立たせる水平基調のダイヤモンドフレームを採用。e-Bikeは構造上、ドライブユニットや大容量バッテリーの搭載によりフレーム形状に制約を受けるが、本モデルではフレーム構造に独自の工夫を施すことで、乗りやすさとデザイン性の両立に成功している。

このダイヤモンドフレームは、軽量コンパクトな車体でありながら、高い剛性を確保し、ライダーに安心感を提供する。また、スチール素材特有のしなやかな特性は、街中の細かな振動を吸収し、快適な乗り心地に大きく寄与する。一見すると電動アシスト自転車とは判別できないほど洗練されたフォルムは、あらゆるファッションや街並みに自然に溶け込む「さりげなさ」を具現化していると言える。

ライディングポジションと足回りへのこだわり

また、そのデザインは「人が乗っているとき」にスポーティなものとするため、ライディングポジションにも徹底的にこだわった。ハンドル位置、高さ、角度、そして形状に工夫を凝らすことで、乗車姿勢が前傾になりすぎない、ゆったりとした快適なポジションを実現。これにより、体への負担が軽減され、日常の移動はもちろん、週末のサイクリングでも疲れを感じにくい設計となった。さらに、ユーザーの体格や好みに合わせてハンドル角度の調整も可能とし、よりパーソナライズされた乗り心地が提供される。

20インチ小径タイヤ車としては特徴的な水平基調のフレームを採用した。

ハンドルバーには、スポーティなルックスを演出するBMX風のブリッジハンドルを採用。これはデザイン性のみならず、ミニベロ特有のクイックな操作感を抑え、安定したハンドリングにも貢献する。

スポーティさを演出するブリッジハンドルを採用。
小柄な女性から扱えるよう高さ調整幅を広げる多段スペーサーをステアリングポストに採用。

足回りには、駐輪機に収まる最大幅のタイヤ(20×2.125 HE)を採用した。この太めのタイヤは、フレームデザインとのマッチングを考慮したデザイン上のアクセントであると同時に、高いクッション性を発揮する機能部品である。路面の段差や凹凸からくる衝撃を効果的に吸収し、小径車ながらも安定感のある快適な走行性能を実現した。

電動アシスト自転車を発明したヤマハの技術

搭載されるバッテリーは、少ない充電頻度で利用可能な大容量の15.8Ah。これにより、日常の「数キロ圏内」の移動はもちろん、週末の遠出や寄り道といったロングライドにも十分対応できる航続性能を確保した。

バッテリー容量は15.8Ahを採用。

駆動ユニットは、長年市場をリードしてきたPASシリーズのテクノロジーを継承し、スムーズかつ力強いアシストを実現。坂道や向かい風といった状況でも、ライダーにストレスを感じさせない自然な加速フィールを提供する。

スポーティかつシンプルにするため、モーターユニットも目立たなくするデザインとなった。

実用装備にも、都市生活での利便性を高める配慮が施された。変速機には内装3段変速を採用。信号待ちなどの停車中でも変速操作が可能であるため、ストップ&ゴーの多い街中の走行で威力を発揮する。また、前後フルフェンダー(泥除け)を標準装備することで、雨天時や水たまり走行時の泥はねを防ぎ、日常生活における快適性と清潔感を維持する。

ライフスタイルを彩る全3色のカラーリング

カラーリングは、多様なファッションやライフスタイルにマッチする全3色で展開される。

メルティグラファイト: フォーマルからカジュアルまで、あらゆる服装と調和する都市的なカラー。

カーキジェイド2: カジュアルなアウトドアスタイルにもマッチする、個性を主張しながらも落ち着きのあるアースカラー。

マットエクリュ: 洗練された印象の中に温もりを感じさせる、上品な雰囲気を演出する優しい色合い。

これらのカラーバリエーションは、ユーザーのファッションやライフスタイルの一部として機能することを意図し設定された。

価格は電動アシスト自転車としては、比較的手を出しやすい価格帯となる13万8000円。

1993年に世界初の電動アシスト自転車として登場した「PAS」は、日本の新しいモビリティ文化を創り出し、牽引してきた。「PAS CRAIG ALLEY」は、その歴史の中で、デザイン性と価格や趣味性から、手にしやすさが特徴で、また新たな電動アシスト自転車ユーザーを生み出すことになるだろう。